2019年01月02日

2019年は上海竜華寺からスタート、今年は「諸事圓成」。

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 最近、旅のついでに中国各地のお寺をお参りすることが多いのですが、上海地元で、私が96年から毎年お参りしているお寺が竜華寺です。今では地下鉄12号線と11号線の竜華駅が開通し、アクセスも良くなりました。

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 この竜華寺の大晦日では、毎年除夜の鐘イベントが行われています。私も上海市徐匯区の観光事業を管轄する旅遊局から声がかかり、ここ数年は日本人の一人としてイベントに招待して頂きました。会場には上海市の副市長も挨拶され、なかなかオフィシャルなイベントのなっています。

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 竜華寺の鐘つきは人気のイベントだけに、入り口はセキュリティーも厳しいのですが、中に入ると踊りなどで色々と盛り上がっていて、日本とはまた違った年の瀬を感じられます。一般の人も入場可能で、入り口でチケットを買うこともできます。

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 中国では春節が年越しで一番盛り上がるのですが、お寺関係では除夜の鐘のイベントを行うところも多く、蘇州の寒山寺でも同様のイベントが毎年行われています。

 大晦日の拝観は、一年のうちでも数少ない夜の竜華寺を見られるチャンスでもあります。
 明るいときよりも、むしろこのライトアップされた仏様が荘厳で、私的には好みです。

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 また、鐘つきが始まる前、今年の京都の清水寺の「災」ように今年の漢字が発表されます。
 同時に、その漢字を使った四字熟語も発表され、印刷されたポスターは、時に部屋や玄関に貼り付ける人も多いです。

 今年は猪(zhu)なので、诸(zhu)とかけ「诸事圆成」。 「圆成」とは仏教用語で、円満に成就しますようにと言う意味らしい。 我が家でも早速、玄関に貼り付けました。

 そして、最後は恒例の年越麺をいただきます。麺は中国でも縁起物ですからね。とはいえ上海ではあまり蕎麦は食べません。

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 竜華寺の麺は、肉や魚を一切使わない「素麺」でこれがなかなか美味しい。
 大晦日だけでなく、平時でもお寺内の食堂にありますので、ぜひ一度食べてみる価値はあると思います。

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 私は食べる時に麺に黒酢を少し入れるのが好きなのですが、もちろん、そのままで頂いても美味しいです。唐辛子をいれてピリ辛にする人もいます。ただ、肉・魚類がなくても、十分に美味しいスープが出ています。
 大晦日の夜、お寺では別棟の食堂も開放して麺を提供していますが、それでも参拝者で一杯になるぐらいの人気です。

 竜華寺の参拝客を見ていると、仏教を信仰している上海人が非常に多いことに気がつきます。皆さん、しっかりと列を作って参拝し、また除夜の鐘の行列も長かったですが、とても整然としていました。

 この竜華寺を訪れると、近未来都市に急変貌している上海のなかで、ふと人々の信仰のより所を感じることができる秘密スポットを見つけた感じになり、なにかホッとした気分になります。いつの時代も、人間にとっては信仰が大切なんだと思いますね。

 ちなみに、最後までいると地下鉄の終電を逃してしまうので注意を。奈良や京都みたいに大晦日の交通の便はよくありません。マイカーの場合は、近くの「正大楽城」の地下駐車場が便利かも。ここからお寺まで歩いて1.5キロほどですが、間違いなく駐車スペースがあります。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | ここは上海なり

2018年06月26日

奈良県一のっぽビル最上階の露天風呂

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 2018年2月15日にOPENしたカンデオホテルズ奈良橿原。
 重伝建地区でもある今井町から徒歩数分、大和八木駅前すぐの立地条件だけに、我々地元民にとっては宿泊するチャンスはそうないのですが、色々地元では話題になっているホテルだけに、ものは試しと一度宿泊してみることにしました。

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 カンデオホテルズには、私も出張時には日本各地でお世話になっていて、なかなかお洒落で、それでいて比較的リーズナブルな価格設定には重宝しています。

 中国でもそうですが、せっかくのホテル宿泊の楽しみは、ちょっとした非日常感が楽しめるところにあると思うのですが、なんせ今井町の家が、戦国時代から続く古い町並みの中にあるため、ホテルのロビーに入っただけで、凄く新鮮な感じに。この違和感が堪らない・・・。

 ホテルは橿原市役所と同じ建物で、ミグランスと呼ばれています。全国的に見ても非常に珍しい試みでもあります。まあ、それが一部の地元民の間では賛否両論になっているのですが。。。

 このミグランスが奈良県下で最も背が高いビルだ!といっても、10階建てで、日頃みている上海の摩天楼とは比較にはならないのですが、一般にも開放されている展望台もあり、そこから見える大和三山の絶景は実に素晴らしいです。今井町も眼下に見えます。

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 さて、ホテルのロビーは9階にありますので、市役所の向かい側にあるエレベーターから上へあがります。

 実は、この9階ロビーからの眺めも素晴らしく、葛城山・金剛山・二上山そして畝傍山までキレイに見渡せます。ロビー奥は朝食会場にもなっています。

 まだまだ新しい建物だけに、部屋も新しい。

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 東京のビジネスホテルではいつもなかなか上海から運んできたスーツケースが十分に広げられませんでしたが、ここなら大丈夫でした。アメニティーグッズも充実していて、ゆっくりできる空間になっています。

 私にとって旅のメインはやっぱりお風呂。
 10階にありますが、ここからの眺めも素晴らしい。
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 この日は、男湯から耳成山が一望できましたし、眼下には近鉄電車も。
 天然温泉ではないですが、景色を楽しむだけでも十分に堪能できます。

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 屋上デッキには露天風呂もあり、星空を眺めながらお風呂に入ることができますし、朝になると見事な耳成山のシルエットを眺めることができます。奈良県内でこれほど眺望がよい駅前ホテルはそうないのではないでしょうか?

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 ここのお風呂を一般開放するという話もあったそうですが、今はまだ実現していません。私の印象では、一般開放するには、根本的にお風呂が小さすぎるような印象です。果たしてどうなるのでしょうか?まあ、そこそこの値段にはなるでしょう。

 朝食もビュッフェスタイルですが、工夫されていてなかなか充実していました。インスタ映えする内容かも。

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 地元の食材を使った料理もありましたが、個人的にはもう少し奈良の特徴を出して欲しかった。お粥もありこれは朝の胃にはとても優しくて良いのですが、たとえば「茶がゆ」を紹介しても良いだろうし、三輪素麺なんかもあっても良いのにとも思いました。

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 ここは修学旅行生など団体様が利用するホテルと言うより、個人や小グループの観光客やビジネス客が利用するのにちょうど良い、比較的ゆったり出来るホテルだと思います。ターゲットの客層については、地元の間でももう少し議論されても良かったでしょう。それぞれの層にあった施設が必要なのです。

 地元の人も、素晴らしい大和盆地の眺望を楽しみ、バリエーション豊富な朝食を楽しみ、ちょっと気分転換にT泊するというのも十分ありだとは思います。今のところ、お風呂も朝食も宿泊客限定になっていますし。


 ただ、残念だったのは、地元橿原市を紹介する要素がホテル内に余りにも少なかったこと。せっかく耳成山が一望できる浴場なのに、その紹介はなかったし、客室内にも解説書などもありませんでした。ホテルから歩いて数分でいける今井町の紹介もあまりなかったし、ちょっと残念。1階には観光案内所もあるのですが、果たしてどれだけの人がこれに気がつくのかどうか?

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 この日は、東京出張から戻ってきたすぐだけに、都内の正直バカ高い割には部屋の小さいビジネスホテルと比較すると、とてもお値打ち感がありました。

 今まで、外国人の友人を連れてきて、今井町周辺に宿泊するとき、地元の旅館も紹介したことがあるのですが、あまり外国人に慣れていないのか、言葉の交流に問題があり、携帯電話片手に必死に通訳をしたこともありました。確かに、それもよい経験と言えばそれまでですが、こうして外国人でも安心して宿泊出来るようなホテルが、近鉄大和八木駅前に出来たことは非常に意味あることだと思います。おもてなしをする側に関しても安心感が違います。その割には、PRが少ないなあとも思います。

 なんといっても、大和八木駅からは、関西空港まで直通約1時間のリムジンバスが走っていますし、奈良県の玄関口としても、決して遜色ないと思います。

 これからの発展を期待します!

公式HP:カンデオホテルズ奈良橿原

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 日本の温泉

2018年06月12日

奈良今井町、仏式の起工式(地鎮祭)

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 奈良橿原今井町の空き家町家の修復工事を始めるというブログを書いて早1年以上がすぎました。
 それまで途切れることなく準備を進めていたのですが、手続きがいろいろと大変で、1年かかってやっと目に見えた動きになりました。

 国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に指定されている今井町だけに、町家の修復はなかなか大変です。でも、その大変でかつ地味な作業があるからこそ、今のような中世の風景が残っているのだと思います。

 あまり知られていませんが、今や妻籠・津和野・祇園・白川・川越などなど日本全国で100箇所以上ある重伝建地区の制度が始まるきっかけを作ったのも、実はこの今井町。戦国時代から今井町人たちの自治があったように、その後も町を保存する先輩住民達による独自の取り組みが行われていたことは特筆に値します。それが町家建築などが群集して残る現在の姿になったのです。

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 ちなみに重伝建地区は、歴史がある奈良県ですら3箇所しかなく、伝統的建造物は504箇所もあり、日本全国のなかでも突出しています。まあ、奈良県には重伝建地区に匹敵するような地域はまだまだあるのでしょうが、本格的な保存となると地元の人の協力も必要で、難題も沢山あるわけです。
 
 今回の改修工事も伝統的建造物に指定されている町家ですので、設計士さんや大工さんはもちろんのこと、文化庁や橿原市をはじめ、関係各部門との許認可が必要ですし、さらに自治会長さん、区長さん、お隣さん、ご近所さん、そして保存会の会長さんなどなど多くの人たちとの協力と繋がりが必要です。

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 起工式はもろもろの事情から仏式になりました。
 ありがたいことに今井町内のお寺から住職さんに来て頂きました。
 今井町内には、神社もお寺も事欠きません。

 お祓いする神式の地鎮祭とはまったく違う形式で、お経をあげていただきました。屋内・屋外だけでなく、長らく使われてきた厠・おくどさんにも感謝の念を込めて、塩とお酒でお清めしました。

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 こういう今井町の古い建物には、いろいろなエピソードはつきもの。住職さんは前に住んでおられたおばあちゃんのことも含め、工事の安全を祈願されていました。今井町ならではの習慣や風習の話はご近所さんから伺うことで、この街に対する愛着が出てくるものです。

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 全部で1時間半ほどかかりましたが、無事終了。

 今、今井町では徐々にですが、空いている町家の修繕・整備が始まっています。今井町に観光に来られた人は、「なんだ、意外と新しいぞ。」と感じるかもしれません。きっと、修復前の古い古いボロ町家が並んでいると想像されているかもしれません。

 しかし、木造の町家は痛みが激しければ、最後は崩れてしまい自然に帰ってしまいます。とてもエコな建物だと思います。少しでも手を加えていかないと後世まで町並みを残すことが出来ないのです。そのために、今井町内にある整備事務所までいくと、各町家のオリジナルの姿のデータが残っていますが、そうした資料をもとに、近現代に勝手に手が加えられた町屋の外感に関しては、元通りに戻されていきます。
 うちの町家も、もともと壁だった場所に窓が勝手に作られていたり色々な後世の改造箇所が出て来たので、設計士さんと相談しながら、できるだけオリジナルに戻していきます。

 最近、私たちのように、この今井の町並が気に入って、新しくやってくる若いファミリーも増え始めています。

 今井町の生活は、新興住宅地やマンションとは全く違う様式ですが、なんといっても平地で、買い物などはほぼ徒歩で暮らせるようになっていて、隣近所との距離感が近く、いつも誰かと触れあう人間関係は、大都市に住んでいる人にとっては新鮮です。町家街のなかに、銀行も郵便局もあります。

 何百年と営まれてきた先人からの暮らしを自分たちも引き継いで行けたらと思います。我々もここに移住してきて4年目になりますが、古い町とはいえ、住めば都でなかなか居心地が良いものです。

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 これから、天井も抜けてしまったこのボロ町家に、命を吹き込んでいきます!
 海外に暮らしているから見えてくる日本の魅力。これからも大切にしていきたいです。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | 今井町町家再生プロジェクト