このブログにも書きましたが、3ヶ月に1回ぐらいの割合で、聯洋地区や竜陽路地区に住んでいる日本人が集まって情報交換のために「竜陽路の会」を行っています。この会にいつも参加されているOさんから自由市場が引っ越したという話を聞き、今日初めて行ってきました。
何をいまさら、といわれそうですが、実は上海市は自由市場の整備に力を入れていて、今まで「汚い、怪しい、騙す」など何かと問題の多かった自由市場の体質改善をしています。2005年に入って上海市政府によって『菜市場設置与管理規範』が制定され、自由市場の標準化を目指しています。この中には自由市場の設備のあり方について細かく規定されています。
私が今まで利用しては花木地区の自由市場も、この規定に基づいた規格で桜花路に移転したわけです。確かに市内のスーパーは増えていますが、生鮮食料品に関しては自由市場が圧倒的に市民の支持を得ているのは否定できません。私が住む聯洋社区にあるカリフールも生鮮食料品に関して最近若干改善の兆しが見えてきましたが、相変わらず精のない野菜が多いのには変わりません。結果的に世紀公園南側の花木地区の市場まで相変わらずも自転車で買出しに行くことになります。
まず、外観がすごい。以前のバラック当然の市場が鉄筋の建物にかわっていました。最近のモダンな住宅地の雰囲気にあうような設計になっています。入り口部には自転車置き場が設置され、入り口も大きくとられています。さらにびっくりしたのが、自由市場にエスカレーターがあったこと。上りだけでしたが、1階と2階の行き来がラクになりました。自由市場にエスカレーターなど今までの常識では考えられません。また残留農薬の検査結果なども広告板に表示されています。
入ってすぐのところに公平秤があり、ここで業者が量った重さが正しかったかどうか、確認できます。以前の市場では、秤を細工してわざと重く計算させる業者もあり、チェックするためのアイデアでなかなか便利。
鶏・アヒルなど家禽類の販売に関しては、最近の鳥インフルエンザ騒動に配慮されて別棟になっていました。しかし、中は閑散としていて、客はだれもいません。あれだけ鳥好きの上海人ですら家禽類を買っていません。
以前、上海人の友人と食事を会食したときも、鶏料理は極力注文しないといってましたし、上海人の食卓からいま鳥料理が姿を消している実態がよくわかります。あと数年もすれば市場から活きた鶏をうるところも廃止されるかもしれません。美味しい地鶏が食べられなくなるのは残念ですが…。
さらに細かい配慮がされていました。たとえばビニール袋。かねてから市場の有害ビニール袋は健康上の問題になっていましたが、この市場では市場オリジナルの白いビニール袋が共通で採用されていました。これも進歩。
また、野菜の価格もはっきりと表示されるようになりました。これで、値段に関しては安心ですが、それでも値切りに励むのは上海人の常。先日、静安寺にある高級デパートで買い物をしたときも、値札があるのになぜか値切ることができてしまいます。もちろん、市場では当たり前なのですが。
上海で買い物するときはとりあえず値切ることを忘れないことが鉄則のようです。
インフラが新しくなると、中で売っている人たちも何か活気に溢れています。この市場では、1階が仲介業者が売っている野菜類で、2階は農家が直接売っている売り場。一般に2階のほうが若干安いようです。1階には魚介類も豊富。また雑穀や調味料、豆腐類もあります。基本的にスーパーにいかなくてもほとんど片付きます。
上海蟹のシーズンだけに、蟹がところ狭しと売られていましたが、以前長靴で行きたいぐらい汚かった魚介類の売り場は、すっかりときれいになり産物をじっくり選ぶ余裕さえでてきます。
上海の自由市場は形を変えつつもいまでも上海人の台所をしっかりと支えています。なにか迷路のような空間に、所狭しと商品が並べられている、日本で言えば「駄菓子屋」にいるようなワクワク感を与えてくれる市場は、これからもこうやって活き続けてくれる様で安心しました。