2006年04月29日

農村と都市のはざまで

 この日見た現地のテレビ番組に興味深い話を見ました。貧困農村から都市へ出稼ぎに行く若者の話だったのですが、我々との発想の違いを感じました。

 ある田舎の学校で、先生が生徒たちに、「君たちは、将来はこの村に残らず、都会にでて働きなさい、帰ってこなくてもいいのです・・・」といったことをホームルームで話していました。
 過疎化で苦しむ日本の田舎の場合なら、なんとか若者が田舎へ戻ってくるように自治体が頭をひねるわけですが、この農村では逆に帰ってこなくてもいいと学校の先生が言っています。しかも、この番組が上海のテレビで放映されているから、特に政府の意図と反するわけでもないのでしょう。

 後の話を聞くと、なるほどと理解できました。
 すなわち、貧困農村にいて、効率の悪い農作業をするよりも、都市にいって技術を身につけて、収入のある仕事をしなさいということだったのです。中国の場合、近代化が遅れている農村が多いので、もっと近代化ができる農村で近代化をすれば、何億人もいる農村人口を大きく減らし、その人材が工業化の激しい都市のほかの分野で活躍できるという発想です。

 じゃあ、故郷にのこされた彼らの親たち、すなわち高齢者はどうなるのか?彼らは若者のように技術もないし、識字率も低い。若者が出て行くと高齢化が進む一方…。

 この先生の話では、「君たちが都会にいって稼げるようになったときに、両親を都会へ迎えに来てあげなさい・・・」と言っています。すわなち、改革開放以来行われてきた「富める者から富め」という発想の家庭版です。技術も知識も身につけた若者を先に「富ませる」とするわけです。

 考えてみれば、それを実現している地方出身者のエリートは私の周りにも多い。上海にマンションを買って、自分の生活が安泰したら、次は親のマンション、といった感じです。

 でも、お金があれば都会の生活に順応できるわけでもないし、そんなに都会の生活がすばらしいとも思えないし…。というのが、先進国にいるものの発想なのです。
 中国の場合、都会には田舎にはない充実した社会福利厚生がある。戸籍の問題からも、やはり都会に親を住まわせたいと思うのは、「子供心」でしょう。

 こういった背景からも「新・出稼ぎ族」が中国の都会部で増えてきているのです。




 上海では今のところ個人では合法的にパラボラアンテナをつけることができないので、我が家ではNHKがありません。だから、テレビといえばローカル番組。いま、なんとかウチの住宅地全体で衛星テレビがみるようにできないか、マンション住民と管理事務所が交渉中。しかしコスト的にかなりダメそうですが…。

 ローカルテレビネタですが、上海では19チャンネル、(市内でも地域によって若干ちがいますが、浦東エリアでは19チャンネルだと思います。)でドキュメンタリー専門に放送するチャンネルがあります。海外ものの番組から上海地元のローカルネタまで、内容はかなり豊富です。再放送が多いですが、Discoveryも放送されています。
 ときには、感動で胸がジーンとすることもあります。笑うに笑えない娯楽番組が多く、いい番組が少ない上海で、唯一大好きなチャンネルです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2006年04月28日

連休の当直

上海人の私の彼女も、今年のゴールデンウイークは病院の当直。中国の医師業で、現役バリバリの医師なら3日以上の連休は一般に許されておらず、必ず病院に出勤しなくてはなりません。大学病院にいたときもそうでした。彼女の場合は、さらに連休中にも人手不足から当直があるので、実質連休はなし。
 ここからも分かるように一線のローカル病院は、待遇や仕事環境の悪さなども重なり、いまかなり深刻な人手不足なのです。
 その中でもとくに深刻なのが、看護師さん。一部上海の病院では医師よりも給料が高いとも言われている看護師さんでも、なり手がいない、離職率が高い、などでかなり逼迫した状態にあるのです。中国では人口が多いから、人材も豊富と思われがちですが、実はそうではないのが現実です。
 その背景には、医療リスクへの対応など、ソフト面でもハード面でもまだまだこれからで、医療関係者が安心して仕事ができる環境の整備が出遅れがあります。そのため、医療過誤までいかなくても、医療をめぐる患者とのトラブルは日ごろよくニュースで耳にします。このあたりの整備にはすくなくともあと5年〜10年はかかるのではないでしょうか。
 安心して仕事ができなければ、なり手が減るのはあたりまえです。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | 中医学・漢方

今年の連休の予定は・・・・

 ゴールデンウイークの予定が、当サイトのブロガーやライターの皆さんからもいろいろと紹介されていますが、私の今年の予定は、「仕事」となってしまいそうです。
 この連休になんとか溜まっている仕事を片付けたいと計画を作っていますが、どこまで実行できるやら先行きも不安。でも、仕事をしていることが楽しいので、ちっとも苦痛にならないから、そういうすごし方もいい、とか思いつつ、現地ニュースを見ていたら、上海人でもこの連休中に遊びに行かずに「残業」や「アルバイト」などの仕事をして稼ぐことがちょっとしたブームになっているらしい。
 わかります、その気持ち。
 どこの観光地や娯楽施設にいっても「人、人、人」の中国だし、料金は高くサービスも最低。むしろこの時期にしっかりと仕事をして、日ごろ人々が仕事をしているときに遊びに行けるようにするのが賢いやりかただとか…。
 でも市内の交通は、例年、外から上海にくる観光客で渋滞しますよー!もちろん、地下鉄も大混雑。

 上海人の私の彼女も、今年のゴールデンウイークは病院の当直。中国の医師業で、現役バリバリの医師なら3日以上の連休は一般に許されておらず、必ず病院に出勤しなくてはなりません。大学病院にいたときもそうでした。彼女の場合は、さらに連休中にも人手不足から当直があるので、実質連休はなし。
 ここからも分かるように一線のローカル病院は、待遇や仕事環境の悪さなども重なり、いまかなり深刻な人手不足なのです。
 その中でもとくに深刻なのが、看護師さん。一部上海の病院では医師よりも給料が高いとも言われている看護師さんでも、なり手がいない、離職率が高い、などでかなり逼迫した状態にあるのです。中国では人口が多いから、人材も豊富と思われがちですが、実はそうではないのが現実です。
 その背景には、医療リスクへの対応など、ソフト面でもハード面でもまだまだこれからで、医療関係者が安心して仕事ができる環境の整備が出遅れがあります。そのため、医療過誤までいかなくても、医療をめぐる患者とのトラブルは日ごろよくニュースで耳にします。このあたりの整備にはすくなくともあと5年〜10年はかかるのではないでしょうか。
 安心して仕事ができなければ、なり手が減るのはあたりまえです。

まだ連休まえなのに、この賑わい・・(豫園にて)
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類