知り合いの中国人の医師と会食することになりました。彼女は腎臓がすこし悪く、私の恩師を紹介してあげたのが縁。旦那さんがいまをときめく中国の宇宙開発に従事している職員で、典型的な公務員。
話によると、神舟ロケットが本格的に飛ぶ前は薄給で有名な医師業の奥さんの給料よりもまだ少なかったそうですが、神舟プロプロジェクトが本格化してから、「俺の給料で食っていけ」といえるぐらいの給料になったとか。さすが国家プロジェクト!そんな彼は、今では自家用車を乗り回しています。
今日、選んだ店は上海料理の老舗。テレビにもたびたび紹介されていて、オープン18年という上海の飲食業にしては珍しい息の長いレストランです。
その名前は「春」。茂名南路と進賢路の角をちょっと入ったところにあるのですが、とにかくこのレストランは小さい。中にはテーブルが4つしかなく、予約するのも大変なレストランの一つです。料理は上海家庭料理ということで、前回の阿山飯店に続き、注目していたレストランの一つです。
店を開けると、おかみさんが店の真ん中で座っていました。
カメラを持ち込んで店に入ったら、さっそく注意を受けました。料理の写真は撮るなって。う〜ん、この地点で私は愛想が合わないなと思いつつ、とりあえず着席。「メニューを見せて」、と頼むと、「あんたきたことないの?」という返事。メニューをもってきたけど、おかみさんいわく「メニュー見ても仕方がないよ」といわれ、確かにそうと思いつつ、とりあえずお勧めの料理を出してほしいと頼みました。
4つしかないテーブルはあっという間に埋まってしまいました。それからもお馴染みさんといえるようなお客さんがぞくぞくやってきます。
「ごめん、今日は席がないよ」とおかみさんにいわれると「また来るわ」とあっさりと引き上げます。そうか、こうやってここでご飯を食べられること自体がラッキーなんだと妙に納得。
料理は典型的な上海の家庭料理ですが、しかし私からすればやはり油が多すぎ。でも、味付けは素朴だったので、きっとそれが人気の秘密かとわかりました。
最近、上海では家庭料理など回顧的な料理が秘かに人気です。いわゆる「おふくろの味」を求める上海人が多いように思います。こういう店の特徴は、まず内装もいたってシンプルで90年代初めの、いわゆる街の「食堂」を思わせるようなもの。さらに、メニューは誰が見ても分かるような典型的な上海料理、そしてちょっと頑固な店のマスター。大切なのはマスター自身がメニューを紹介し、注文をとります。支離滅裂な料理の説明しかできないバイトとはやはり違います。
ただ、今日の店は店が小さすぎて、客の回転率をあげるためにせかされたのがすごく残念。できることならゆっくりと料理を楽しみたい。しかし、「せかされる」ということが、「話をするためではなく、料理を食べにきなさい」というこの店のポリシーを見せつけられるようでした。そしてこのおかみさんのように「頑固」なのも大切なのかも。
料金は4人で240元ほどでした。まあまあですね。
最近、どこにでもあるような豪華な内装と料理で、ホールのように面積がでかく、印象にちっとも残らない大量生産型レストランに対して、上海人の嗜好も徐々に変わりつつあるようです。
2006年04月24日
ちっちゃな、ちっちゃな上海料理の店
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0)
| 中国で食べる
ちっちゃな、ちっちゃな上海料理の店
知り合いの中国人の医師と会食することになりました。彼女は腎臓がすこし悪く、私の恩師を紹介してあげたのが縁。旦那さんがいまをときめく中国の宇宙開発に従事している職員で、典型的な公務員。
話によると、神舟ロケットが本格的に飛ぶ前は薄給で有名な医師業の奥さんの給料よりもまだ少なかったそうですが、神舟プロプロジェクトが本格化してから、「俺の給料で食っていけ」といえるぐらいの給料になったとか。さすが国家プロジェクト!そんな彼は、今では自家用車を乗り回しています。
今日、選んだ店は上海料理の老舗。テレビにもたびたび紹介されていて、オープン18年という上海の飲食業にしては珍しい息の長いレストランです。
その名前は「春」。茂名南路と進賢路の角をちょっと入ったところにあるのですが、とにかくこのレストランは小さい。中にはテーブルが4つしかなく、予約するのも大変なレストランの一つです。料理は上海家庭料理ということで、前回の阿山飯店に続き、注目していたレストランの一つです。
店を開けると、おかみさんが店の真ん中で座っていました。
カメラを持ち込んで店に入ったら、さっそく注意を受けました。料理の写真は撮るなって。う〜ん、この地点で私は愛想が合わないなと思いつつ、とりあえず着席。「メニューを見せて」、と頼むと、「あんたきたことないの?」という返事。メニューをもってきたけど、おかみさんいわく「メニュー見ても仕方がないよ」といわれ、確かにそうと思いつつ、とりあえずお勧めの料理を出してほしいと頼みました。
4つしかないテーブルはあっという間に埋まってしまいました。それからもお馴染みさんといえるようなお客さんがぞくぞくやってきます。
「ごめん、今日は席がないよ」とおかみさんにいわれると「また来るわ」とあっさりと引き上げます。そうか、こうやってここでご飯を食べられること自体がラッキーなんだと妙に納得。
料理は典型的な上海の家庭料理ですが、しかし私からすればやはり油が多すぎ。でも、味付けは素朴だったので、きっとそれが人気の秘密かとわかりました。
最近、上海では家庭料理など回顧的な料理が秘かに人気です。いわゆる「おふくろの味」を求める上海人が多いように思います。こういう店の特徴は、まず内装もいたってシンプルで90年代初めの、いわゆる街の「食堂」を思わせるようなもの。さらに、メニューは誰が見ても分かるような典型的な上海料理、そしてちょっと頑固な店のマスター。大切なのはマスター自身がメニューを紹介し、注文をとります。支離滅裂な料理の説明しかできないバイトとはやはり違います。
ただ、今日の店は店が小さすぎて、客の回転率をあげるためにせかされたのがすごく残念。できることならゆっくりと料理を楽しみたい。しかし、「せかされる」ということが、「話をするためではなく、料理を食べにきなさい」というこの店のポリシーを見せつけられるようでした。そしてこのおかみさんのように「頑固」なのも大切なのかも。
料金は4人で240元ほどでした。まあまあですね。
入り口から入るといきなりこんな感じ
最近、どこにでもあるような豪華な内装と料理で、ホールのように面積がでかく、印象にちっとも残らない大量生産型レストランに対して、上海人の嗜好も徐々に変わりつつあるようです。
話によると、神舟ロケットが本格的に飛ぶ前は薄給で有名な医師業の奥さんの給料よりもまだ少なかったそうですが、神舟プロプロジェクトが本格化してから、「俺の給料で食っていけ」といえるぐらいの給料になったとか。さすが国家プロジェクト!そんな彼は、今では自家用車を乗り回しています。
今日、選んだ店は上海料理の老舗。テレビにもたびたび紹介されていて、オープン18年という上海の飲食業にしては珍しい息の長いレストランです。
その名前は「春」。茂名南路と進賢路の角をちょっと入ったところにあるのですが、とにかくこのレストランは小さい。中にはテーブルが4つしかなく、予約するのも大変なレストランの一つです。料理は上海家庭料理ということで、前回の阿山飯店に続き、注目していたレストランの一つです。
店を開けると、おかみさんが店の真ん中で座っていました。
カメラを持ち込んで店に入ったら、さっそく注意を受けました。料理の写真は撮るなって。う〜ん、この地点で私は愛想が合わないなと思いつつ、とりあえず着席。「メニューを見せて」、と頼むと、「あんたきたことないの?」という返事。メニューをもってきたけど、おかみさんいわく「メニュー見ても仕方がないよ」といわれ、確かにそうと思いつつ、とりあえずお勧めの料理を出してほしいと頼みました。
4つしかないテーブルはあっという間に埋まってしまいました。それからもお馴染みさんといえるようなお客さんがぞくぞくやってきます。
「ごめん、今日は席がないよ」とおかみさんにいわれると「また来るわ」とあっさりと引き上げます。そうか、こうやってここでご飯を食べられること自体がラッキーなんだと妙に納得。
料理は典型的な上海の家庭料理ですが、しかし私からすればやはり油が多すぎ。でも、味付けは素朴だったので、きっとそれが人気の秘密かとわかりました。
最近、上海では家庭料理など回顧的な料理が秘かに人気です。いわゆる「おふくろの味」を求める上海人が多いように思います。こういう店の特徴は、まず内装もいたってシンプルで90年代初めの、いわゆる街の「食堂」を思わせるようなもの。さらに、メニューは誰が見ても分かるような典型的な上海料理、そしてちょっと頑固な店のマスター。大切なのはマスター自身がメニューを紹介し、注文をとります。支離滅裂な料理の説明しかできないバイトとはやはり違います。
ただ、今日の店は店が小さすぎて、客の回転率をあげるためにせかされたのがすごく残念。できることならゆっくりと料理を楽しみたい。しかし、「せかされる」ということが、「話をするためではなく、料理を食べにきなさい」というこの店のポリシーを見せつけられるようでした。そしてこのおかみさんのように「頑固」なのも大切なのかも。
料金は4人で240元ほどでした。まあまあですね。
最近、どこにでもあるような豪華な内装と料理で、ホールのように面積がでかく、印象にちっとも残らない大量生産型レストランに対して、上海人の嗜好も徐々に変わりつつあるようです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類
2006年04月23日
2006年当時の上海での医療のお話
どの病院でもそうなのですが、週末の当直は忙しい。私が大学病院にいたころは当直医一人で40ベッドほど、さらに当直医をサポートする医師が1人いて、その上に待機の主任医師が、という3重の態勢だったのですが、これは大学病院だから。一般の病院では、当直医一人で100〜120ベッドを管轄するので、週末は忙しくなります。重篤患者が3人いるそうで、今日は特に忙しくなりそうと言っていました。
上海の病院を見ると、大きく分けて上海市が管轄している市立病院、徐匯区などが管轄している区の病院、区が管轄しているもののお年寄りや地域医療を管轄する社区医院、そして営利性が強く、実質お金儲けが認められている私立病院の4種類に分かれます。
我々がイメージする大学病院のほとんどは、市立病院でランクでは最高の3級になり、トップクラスです。華山医院や瑞金医院、華東医院などがそうです。
3級クラスの病院になると、医療スタッフもかなり充実しています。中国だけでなく世界的に有名な教授や、私の恩師のように時には北京や上海の政府高官の診察に出たりもします。
一般市民の患者の場合、このような医師に診察してもらおうと思えば、2ヶ月から3ヶ月待ちというようなこともあります。中国各地以外でも世界各地から患者がやってきているといっても過言ではないでしょう。
ちなみに外国人の場合は、1回の診察料が200元近く設置されていますが、その一方で並ばなくてもすぐに診察してもらえるというメリットがあります。
公立病院はランクと医師の資格の違いにより診察料ランクが分かれていて、最高が教授・主任医師と2つの資格看板をかけている医師。こういう医師はそう多くありません。外来医師のほとんどは副主任医師の資格をもつ医師でしょうか。
診察料は8元から200元前後といろいろありますが、公立病院の場合は診察料の値段が政府より決められているので、勝手に診察料を設定することはできません。これがいわゆる上海市民の公的保険適用病院なのです。
中国では現在、とくに医療費には敏感で、医療費をいかに抑制するかという方向で、さまざまな政策が採られています。街の一般病院で採用されている8元前後(130円前後)の診察料も、我々からすればずいぶん安く感じられますが、上海の大部分の市民にとっては、やはり高く感じられるようです。そこで、年何回かは大学病院など大きな病院にいって有名な先生の診察をうけ、普段は地区の病院で済ませるという患者さんはよく見かけます。
もっと診察料を下げてほしいという圧力があるのも事実。でもこれ以上下げると病院の採算が合わないので、今度は薬代を下げる方針で力が入れられています。
中国の場合、所得の差が大きいので、それぞれが求める医療サービスに大きな違いがあります。いま、多くの病院は収益を上げるために富裕層や外国人を狙って営利性の強い病院の設立を目指していますが、これでは病院本来の意味が失われます。ほんのちょっとした血液検査で数千元というような病院も耳にしました。よっぽど最新の機械を使っているのでしょうか。
一方で、出稼ぎに来ている地方出身者の多くは、上海で地元の公的健康保険が使えないため、ヤブ医者に騙されたり、病院にいくことすらしなかったりするようなケースが多いのも事実なのです。そこで、上海市では公的病院に対しては、コストをできる限り透明化し、どの病院でも均一の医療サービスを受けられるようにし、市民と病院との関係改善に努力しているのです。しかし、それでもトラブルは続出してるようで、医師と患者の関係はますます難しくなる一方です。
先日、臓器移植を受けに海外から中国にやってくる外国人患者の話が日本のマスコミでクローズアップされていましたが、その前に移植を受けたいのに受けられない中国人の患者がたくさんいて、順番待ちであるということ、さらに移植ができないことにより彼らの治療費が圧迫されているという事実を我々は認識しなければなりません。
上海の病院を見ると、大きく分けて上海市が管轄している市立病院、徐匯区などが管轄している区の病院、区が管轄しているもののお年寄りや地域医療を管轄する社区医院、そして営利性が強く、実質お金儲けが認められている私立病院の4種類に分かれます。
我々がイメージする大学病院のほとんどは、市立病院でランクでは最高の3級になり、トップクラスです。華山医院や瑞金医院、華東医院などがそうです。
3級クラスの病院になると、医療スタッフもかなり充実しています。中国だけでなく世界的に有名な教授や、私の恩師のように時には北京や上海の政府高官の診察に出たりもします。
一般市民の患者の場合、このような医師に診察してもらおうと思えば、2ヶ月から3ヶ月待ちというようなこともあります。中国各地以外でも世界各地から患者がやってきているといっても過言ではないでしょう。
ちなみに外国人の場合は、1回の診察料が200元近く設置されていますが、その一方で並ばなくてもすぐに診察してもらえるというメリットがあります。
公立病院はランクと医師の資格の違いにより診察料ランクが分かれていて、最高が教授・主任医師と2つの資格看板をかけている医師。こういう医師はそう多くありません。外来医師のほとんどは副主任医師の資格をもつ医師でしょうか。
診察料は8元から200元前後といろいろありますが、公立病院の場合は診察料の値段が政府より決められているので、勝手に診察料を設定することはできません。これがいわゆる上海市民の公的保険適用病院なのです。
中国では現在、とくに医療費には敏感で、医療費をいかに抑制するかという方向で、さまざまな政策が採られています。街の一般病院で採用されている8元前後(130円前後)の診察料も、我々からすればずいぶん安く感じられますが、上海の大部分の市民にとっては、やはり高く感じられるようです。そこで、年何回かは大学病院など大きな病院にいって有名な先生の診察をうけ、普段は地区の病院で済ませるという患者さんはよく見かけます。
もっと診察料を下げてほしいという圧力があるのも事実。でもこれ以上下げると病院の採算が合わないので、今度は薬代を下げる方針で力が入れられています。
中国の場合、所得の差が大きいので、それぞれが求める医療サービスに大きな違いがあります。いま、多くの病院は収益を上げるために富裕層や外国人を狙って営利性の強い病院の設立を目指していますが、これでは病院本来の意味が失われます。ほんのちょっとした血液検査で数千元というような病院も耳にしました。よっぽど最新の機械を使っているのでしょうか。
一方で、出稼ぎに来ている地方出身者の多くは、上海で地元の公的健康保険が使えないため、ヤブ医者に騙されたり、病院にいくことすらしなかったりするようなケースが多いのも事実なのです。そこで、上海市では公的病院に対しては、コストをできる限り透明化し、どの病院でも均一の医療サービスを受けられるようにし、市民と病院との関係改善に努力しているのです。しかし、それでもトラブルは続出してるようで、医師と患者の関係はますます難しくなる一方です。
先日、臓器移植を受けに海外から中国にやってくる外国人患者の話が日本のマスコミでクローズアップされていましたが、その前に移植を受けたいのに受けられない中国人の患者がたくさんいて、順番待ちであるということ、さらに移植ができないことにより彼らの治療費が圧迫されているという事実を我々は認識しなければなりません。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0)
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