2006年04月05日

靴を脱ぐ文化と脱がない文化

中国で生活してる日本人にとって、市内で見かける市民のマナー違反はいろいろと気になるところですが、逆に中国人からみた中国での日本人のマナー違反をご存知でしょうか?  

 実は、上海人からもよく言われるのですが、中国で靴を脱いでしまう習慣の日本人が多いということをよく耳にします。どういうことかというと、先日も日本に戻ったとき、東京から大阪の新幹線の車内で靴を脱いでくつろいでいるサラリーマンをよく見かけましたが、実はこの行為、中国ではNGです。少なくとも、中国の列車で、さらに若い中国人女性が隣に座っていたら絶対NGです。基本的に列車内で靴を脱ぐことが許されるのは、寝台列車など特殊な列車ぐらいで、特急列車、バス、短距離の飛行機では普通、靴を脱がないようです。 

 そのほか、レストランでも靴を脱いでくつろいでいる日本人を見たことがありますが、これもNGのNG。もちろん、掘りごたつ式の日本料理屋や韓国料理屋では別ですが。  

 これらは典型的なマナー文化意識の違いかと思いますが、靴を脱ぐ、脱がないというのは文化的側面から見ると非常に興味深い。たとえば、上海で電話の設置工事や、水道の検査をするおじさんが私の家にあがるとき、多くの人は靴にかぶせるカバーを持ってきます。すなわち、靴を脱がずにその上にカバーをかけて家にあがるのです。これが日本なら、ちょっと違和感があるように思います。 

 しかし、中国では靴にカバーをかけて家にあがることがマナーとなっています。よっぽどのことがない限り、靴は脱がないので、家庭によってははじめから来客用のカバーを準備しているところもあります。逆に、私が中国人の家庭に呼ばれたときも、靴を脱がなくてもいいからカバーをかけなさい、といわれることがよくあります。親切からそういってくださっているのですが、日本人の私としてはやはり靴を脱ぎたい…。 


 実は、スリッパを履く、という行為に対しても、中国の人の多くに抵抗感があることも興味深い。以前、中国のある大学の図書館で、土足厳禁のエリアがあったのですが、はじめはスリッパが準備されていて、スリッパの履き替えを強要していたのですが、そのうち学生たちの猛反対にあい、靴にナイロンカバー(学生が自費で購入しなくてはならないが・・)をかけて入室することになりました。この場合の理由は、「公共のスリッパは不衛生」ということだったのですが、日本ではこの点は意外と気になりませんよね。  

 その結果、中国のマンションでは普通は玄関がないことが多い。すなわち、ドアを開けていきなりフローリングが始まるのです。私はこの点が非常に不満で、自分で上海のマンションを内装したときは、玄関の設置は最重要課題で私も力を入れて設計しました。やはり、日本人にとって、外と中を区別するという点でも、玄関というのは欠かせないと思います。「けじめ」を重んじる日本文化の特徴からだとも思うのですが、中国ではそれこそ下駄箱ですら玄関ドアの外側に置く人もいるぐらい。だから、時々うちのマンションでも「靴が盗まれた」という話を聞くのですが、日本ではあまり考えられません。 

 結局、上海でも靴を脱ぐという行為が日本ほど頻繁でないため、多くの人にとっては玄関は思いつきもしないものなのでしょう。だから、私の家にくる中国の人の多くで、玄関のスペースを見てもここが靴を脱ぐ場所だと分からず、玄関ドアの外で靴を脱ぐ人が多いのも納得できます。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学・漢方

靴を脱ぐ文化と脱がない文化

 中国で生活してる日本人にとって、市内で見かける市民のマナー違反はいろいろと気になるところですが、逆に中国人からみた中国での日本人のマナー違反をご存知でしょうか?  

 実は、上海人からもよく言われるのですが、中国で靴を脱いでしまう習慣の日本人が多いということをよく耳にします。どういうことかというと、先日も日本に戻ったとき、東京から大阪の新幹線の車内で靴を脱いでくつろいでいるサラリーマンをよく見かけましたが、実はこの行為、中国ではNGです。少なくとも、中国の列車で、さらに若い中国人女性が隣に座っていたら絶対NGです。基本的に列車内で靴を脱ぐことが許されるのは、寝台列車など特殊な列車ぐらいで、特急列車、バス、短距離の飛行機では普通、靴を脱がないようです。 

 そのほか、レストランでも靴を脱いでくつろいでいる日本人を見たことがありますが、これもNGのNG。もちろん、掘りごたつ式の日本料理屋や韓国料理屋では別ですが。  

 これらは典型的なマナー文化意識の違いかと思いますが、靴を脱ぐ、脱がないというのは文化的側面から見ると非常に興味深い。たとえば、上海で電話の設置工事や、水道の検査をするおじさんが私の家にあがるとき、多くの人は靴にかぶせるカバーを持ってきます。すなわち、靴を脱がずにその上にカバーをかけて家にあがるのです。これが日本なら、ちょっと違和感があるように思います。 

 しかし、中国では靴にカバーをかけて家にあがることがマナーとなっています。よっぽどのことがない限り、靴は脱がないので、家庭によってははじめから来客用のカバーを準備しているところもあります。逆に、私が中国人の家庭に呼ばれたときも、靴を脱がなくてもいいからカバーをかけなさい、といわれることがよくあります。親切からそういってくださっているのですが、日本人の私としてはやはり靴を脱ぎたい…。 


我が家の玄関 現地の大工さんに説明するのにも一苦労しました


 実は、スリッパを履く、という行為に対しても、中国の人の多くに抵抗感があることも興味深い。以前、中国のある大学の図書館で、土足厳禁のエリアがあったのですが、はじめはスリッパが準備されていて、スリッパの履き替えを強要していたのですが、そのうち学生たちの猛反対にあい、靴にナイロンカバー(学生が自費で購入しなくてはならないが・・)をかけて入室することになりました。この場合の理由は、「公共のスリッパは不衛生」ということだったのですが、日本ではこの点は意外と気になりませんよね。  

 その結果、中国のマンションでは普通は玄関がないことが多い。すなわち、ドアを開けていきなりフローリングが始まるのです。私はこの点が非常に不満で、自分で上海のマンションを内装したときは、玄関の設置は最重要課題で私も力を入れて設計しました。やはり、日本人にとって、外と中を区別するという点でも、玄関というのは欠かせないと思います。「けじめ」を重んじる日本文化の特徴からだとも思うのですが、中国ではそれこそ下駄箱ですら玄関ドアの外側に置く人もいるぐらい。だから、時々うちのマンションでも「靴が盗まれた」という話を聞くのですが、日本ではあまり考えられません。 

 結局、上海でも靴を脱ぐという行為が日本ほど頻繁でないため、多くの人にとっては玄関は思いつきもしないものなのでしょう。だから、私の家にくる中国の人の多くで、玄関のスペースを見てもここが靴を脱ぐ場所だと分からず、玄関ドアの外で靴を脱ぐ人が多いのも納得できます。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類