中国で韓流ブームが言われる中、最近にわかに日本のドラマが復活しています。上海にいる方ならご存知でしょうか、CCTV系列で『白い巨頭』が放映されていますし、4月5日から湖南衛星テレビでなんと『おしん』も再放送されています。一時、中国のテレビドラマのほとんどが韓国ドラマ、ということもあったぐらいなのに、ここにきて日本のドラマが放映されるのはちょっと興味深い。
『おしん』は私が上海に来るずっと前、すなわち1980年代に中国で初めて放映され、中国人に強烈な日本の印象を与えています。折りしもあのヤオハンが中国に進出しようとしていたころですから、その話とオーバーラップされて、知名度は抜群でした。とくに、中高年に人気があり、今でも日本のテレビドラマ=「おしん(中国語で阿信、発音するとアーシンとなります)」という構図が出来上がっているぐらいです。
海外のテレビドラマの中国での放映は、日本と違ってさまざまな規定があり、どの国のドラマを何本放映できるか、など各テレビ局で決められているのが中国。去年はその枠いっぱい、いっぱいに韓国ドラマが放映されたのに、ここにきて過去に放映された日本の「おしん」が登場してきたことに、いろいろなメッセージが込められているように感じないわけにはいきません。
その当時、「おしん」に描かれている人物像をみて、これが日本人なんだと「好印象」をもった中国人が少なくないことは特筆に値します。貧しい少年時代から、東京へ出て、家庭に仕事に奮闘する日本人女性の姿は、まさに今の田舎から上海などの都会に出稼ぎに来て成功した地方出身者にもつながり、それが、苦労を重ねてきた中高年の世代に強く共感を受けたのです。だから、この再放送の放映時間も、夜11時前後と非常に遅い。ターゲットが韓流ドラマと明らかに違います。
しかし、このドラマをみて「日本人女性」=「苦」というイメージをもった中国人も少なくなく、いかにこのドラマの影響力が大きかったか想像に難くありません。
さらに、ここにきて「おしん」の小説版も書店に並び出しています。天津人民出版社から第1巻が出ており、書店の話によると、今年中にあと2巻が出版されるとか。再放送されたテレビドラマが小説化されることも異例。
また今回の再放送にあたって、中国語の吹き替えも刷新されています。よく耳を済ませてください。台湾系の「国語」のバージョンになっていますよ。関係者によると、それのほうが視聴者にとって現代生活により近い印象を与えるのだとか。ふ〜ん、それは初耳。
政治では相変わらずギクシャクしている日中関係ですが、こうやって日本のドラマが立て続けに中国のテレビで放映されたということは、この関係打開に中国側からも動き出している兆しなのではないでしょうか。いや、少なくともそうあってほしい。
そして、日本側もテレビドラマを制作するときは、単に視聴率のことを考えるのではなく、語り継がれるような名作ドラマを制作してほしいと願うわけです。いい作品であれば、今でも日本のドラマの海外への、とくにアジアでの影響力は絶大ですよ。
2006年04月07日
「おしん」の再放送
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0)
| 中医学・漢方
「おしん」の再放送
中国で韓流ブームが言われる中、最近にわかに日本のドラマが復活しています。上海にいる方ならご存知でしょうか、CCTV系列で『白い巨頭』が放映されていますし、4月5日から湖南衛星テレビでなんと『おしん』も再放送されています。一時、中国のテレビドラマのほとんどが韓国ドラマ、ということもあったぐらいなのに、ここにきて日本のドラマが放映されるのはちょっと興味深い。
『おしん』は私が上海に来るずっと前、すなわち1980年代に中国で初めて放映され、中国人に強烈な日本の印象を与えています。折りしもあのヤオハンが中国に進出しようとしていたころですから、その話とオーバーラップされて、知名度は抜群でした。とくに、中高年に人気があり、今でも日本のテレビドラマ=「おしん(中国語で阿信、発音するとアーシンとなります)」という構図が出来上がっているぐらいです。
海外のテレビドラマの中国での放映は、日本と違ってさまざまな規定があり、どの国のドラマを何本放映できるか、など各テレビ局で決められているのが中国。去年はその枠いっぱい、いっぱいに韓国ドラマが放映されたのに、ここにきて過去に放映された日本の「おしん」が登場してきたことに、いろいろなメッセージが込められているように感じないわけにはいきません。
「おしん」
その当時、「おしん」に描かれている人物像をみて、これが日本人なんだと「好印象」をもった中国人が少なくないことは特筆に値します。貧しい少年時代から、東京へ出て、家庭に仕事に奮闘する日本人女性の姿は、まさに今の田舎から上海などの都会に出稼ぎに来て成功した地方出身者にもつながり、それが、苦労を重ねてきた中高年の世代に強く共感を受けたのです。だから、この再放送の放映時間も、夜11時前後と非常に遅い。ターゲットが韓流ドラマと明らかに違います。
しかし、このドラマをみて「日本人女性」=「苦」というイメージをもった中国人も少なくなく、いかにこのドラマの影響力が大きかったか想像に難くありません。
さらに、ここにきて「おしん」の小説版も書店に並び出しています。天津人民出版社から第1巻が出ており、書店の話によると、今年中にあと2巻が出版されるとか。再放送されたテレビドラマが小説化されることも異例。
また今回の再放送にあたって、中国語の吹き替えも刷新されています。よく耳を済ませてください。台湾系の「国語」のバージョンになっていますよ。関係者によると、それのほうが視聴者にとって現代生活により近い印象を与えるのだとか。ふ〜ん、それは初耳。
政治では相変わらずギクシャクしている日中関係ですが、こうやって日本のドラマが立て続けに中国のテレビで放映されたということは、この関係打開に中国側からも動き出している兆しなのではないでしょうか。いや、少なくともそうあってほしい。
そして、日本側もテレビドラマを制作するときは、単に視聴率のことを考えるのではなく、語り継がれるような名作ドラマを制作してほしいと願うわけです。いい作品であれば、今でも日本のドラマの海外への、とくにアジアでの影響力は絶大ですよ。
『おしん』は私が上海に来るずっと前、すなわち1980年代に中国で初めて放映され、中国人に強烈な日本の印象を与えています。折りしもあのヤオハンが中国に進出しようとしていたころですから、その話とオーバーラップされて、知名度は抜群でした。とくに、中高年に人気があり、今でも日本のテレビドラマ=「おしん(中国語で阿信、発音するとアーシンとなります)」という構図が出来上がっているぐらいです。
海外のテレビドラマの中国での放映は、日本と違ってさまざまな規定があり、どの国のドラマを何本放映できるか、など各テレビ局で決められているのが中国。去年はその枠いっぱい、いっぱいに韓国ドラマが放映されたのに、ここにきて過去に放映された日本の「おしん」が登場してきたことに、いろいろなメッセージが込められているように感じないわけにはいきません。
その当時、「おしん」に描かれている人物像をみて、これが日本人なんだと「好印象」をもった中国人が少なくないことは特筆に値します。貧しい少年時代から、東京へ出て、家庭に仕事に奮闘する日本人女性の姿は、まさに今の田舎から上海などの都会に出稼ぎに来て成功した地方出身者にもつながり、それが、苦労を重ねてきた中高年の世代に強く共感を受けたのです。だから、この再放送の放映時間も、夜11時前後と非常に遅い。ターゲットが韓流ドラマと明らかに違います。
しかし、このドラマをみて「日本人女性」=「苦」というイメージをもった中国人も少なくなく、いかにこのドラマの影響力が大きかったか想像に難くありません。
さらに、ここにきて「おしん」の小説版も書店に並び出しています。天津人民出版社から第1巻が出ており、書店の話によると、今年中にあと2巻が出版されるとか。再放送されたテレビドラマが小説化されることも異例。
また今回の再放送にあたって、中国語の吹き替えも刷新されています。よく耳を済ませてください。台湾系の「国語」のバージョンになっていますよ。関係者によると、それのほうが視聴者にとって現代生活により近い印象を与えるのだとか。ふ〜ん、それは初耳。
政治では相変わらずギクシャクしている日中関係ですが、こうやって日本のドラマが立て続けに中国のテレビで放映されたということは、この関係打開に中国側からも動き出している兆しなのではないでしょうか。いや、少なくともそうあってほしい。
そして、日本側もテレビドラマを制作するときは、単に視聴率のことを考えるのではなく、語り継がれるような名作ドラマを制作してほしいと願うわけです。いい作品であれば、今でも日本のドラマの海外への、とくにアジアでの影響力は絶大ですよ。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類