2006年04月23日

2006年当時の上海での医療のお話

どの病院でもそうなのですが、週末の当直は忙しい。私が大学病院にいたころは当直医一人で40ベッドほど、さらに当直医をサポートする医師が1人いて、その上に待機の主任医師が、という3重の態勢だったのですが、これは大学病院だから。一般の病院では、当直医一人で100〜120ベッドを管轄するので、週末は忙しくなります。重篤患者が3人いるそうで、今日は特に忙しくなりそうと言っていました。

 上海の病院を見ると、大きく分けて上海市が管轄している市立病院、徐匯区などが管轄している区の病院、区が管轄しているもののお年寄りや地域医療を管轄する社区医院、そして営利性が強く、実質お金儲けが認められている私立病院の4種類に分かれます。

 我々がイメージする大学病院のほとんどは、市立病院でランクでは最高の3級になり、トップクラスです。華山医院や瑞金医院、華東医院などがそうです。
 



 3級クラスの病院になると、医療スタッフもかなり充実しています。中国だけでなく世界的に有名な教授や、私の恩師のように時には北京や上海の政府高官の診察に出たりもします。
 一般市民の患者の場合、このような医師に診察してもらおうと思えば、2ヶ月から3ヶ月待ちというようなこともあります。中国各地以外でも世界各地から患者がやってきているといっても過言ではないでしょう。
 ちなみに外国人の場合は、1回の診察料が200元近く設置されていますが、その一方で並ばなくてもすぐに診察してもらえるというメリットがあります。

 公立病院はランクと医師の資格の違いにより診察料ランクが分かれていて、最高が教授・主任医師と2つの資格看板をかけている医師。こういう医師はそう多くありません。外来医師のほとんどは副主任医師の資格をもつ医師でしょうか。
 診察料は8元から200元前後といろいろありますが、公立病院の場合は診察料の値段が政府より決められているので、勝手に診察料を設定することはできません。これがいわゆる上海市民の公的保険適用病院なのです。

 中国では現在、とくに医療費には敏感で、医療費をいかに抑制するかという方向で、さまざまな政策が採られています。街の一般病院で採用されている8元前後(130円前後)の診察料も、我々からすればずいぶん安く感じられますが、上海の大部分の市民にとっては、やはり高く感じられるようです。そこで、年何回かは大学病院など大きな病院にいって有名な先生の診察をうけ、普段は地区の病院で済ませるという患者さんはよく見かけます。
 もっと診察料を下げてほしいという圧力があるのも事実。でもこれ以上下げると病院の採算が合わないので、今度は薬代を下げる方針で力が入れられています。

 中国の場合、所得の差が大きいので、それぞれが求める医療サービスに大きな違いがあります。いま、多くの病院は収益を上げるために富裕層や外国人を狙って営利性の強い病院の設立を目指していますが、これでは病院本来の意味が失われます。ほんのちょっとした血液検査で数千元というような病院も耳にしました。よっぽど最新の機械を使っているのでしょうか。

 一方で、出稼ぎに来ている地方出身者の多くは、上海で地元の公的健康保険が使えないため、ヤブ医者に騙されたり、病院にいくことすらしなかったりするようなケースが多いのも事実なのです。そこで、上海市では公的病院に対しては、コストをできる限り透明化し、どの病院でも均一の医療サービスを受けられるようにし、市民と病院との関係改善に努力しているのです。しかし、それでもトラブルは続出してるようで、医師と患者の関係はますます難しくなる一方です。

 先日、臓器移植を受けに海外から中国にやってくる外国人患者の話が日本のマスコミでクローズアップされていましたが、その前に移植を受けたいのに受けられない中国人の患者がたくさんいて、順番待ちであるということ、さらに移植ができないことにより彼らの治療費が圧迫されているという事実を我々は認識しなければなりません。
posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | 中医学・漢方

う、全身が筋肉痛・・・ 医療のお話

 私の住むローカルマンションに日本人は絶対いない、とか勝手に想像していたのですが、プールにいくと日本人のファミリーに遭遇しました。うおー、うちのマンションも日本人が住むようになったのか・・・と思うと嬉しいやら、感動やら。
 さて、プールで泳いだ次の日、今日は全身筋肉痛です。日ごろ運動はしていたつもりなのに、まだまだ足りないのか。今年の目標は夏までに5キロ減量。

 今日、私の彼女は病院で当直。
 どの病院でもそうなのですが、週末の当直は忙しい。私が大学病院にいたころは当直医一人で40ベッドほど、さらに当直医をサポートする医師が1人いて、その上に待機の主任医師が、という3重の態勢だったのですが、これは大学病院だから。一般の病院では、当直医一人で100〜120ベッドを管轄するので、週末は忙しくなります。重篤患者が3人いるそうで、今日は特に忙しくなりそうと言っていました。

 上海の病院を見ると、大きく分けて上海市が管轄している市立病院、徐匯区などが管轄している区の病院、区が管轄しているもののお年寄りや地域医療を管轄する社区医院、そして営利性が強く、実質お金儲けが認められている私立病院の4種類に分かれます。

 我々がイメージする大学病院のほとんどは、市立病院でランクでは最高の3級になり、トップクラスです。華山医院や瑞金医院、華東医院などがそうです。
 



 3級クラスの病院になると、医療スタッフもかなり充実しています。中国だけでなく世界的に有名な教授や、私の恩師のように時には北京や上海の政府高官の診察に出たりもします。
 一般市民の患者の場合、このような医師に診察してもらおうと思えば、2ヶ月から3ヶ月待ちというようなこともあります。中国各地以外でも世界各地から患者がやってきているといっても過言ではないでしょう。
 ちなみに外国人の場合は、1回の診察料が200元近く設置されていますが、その一方で並ばなくてもすぐに診察してもらえるというメリットがあります。

 公立病院はランクと医師の資格の違いにより診察料ランクが分かれていて、最高が教授・主任医師と2つの資格看板をかけている医師。こういう医師はそう多くありません。外来医師のほとんどは副主任医師の資格をもつ医師でしょうか。
 診察料は8元から200元前後といろいろありますが、公立病院の場合は診察料の値段が政府より決められているので、勝手に診察料を設定することはできません。これがいわゆる上海市民の公的保険適用病院なのです。

 中国では現在、とくに医療費には敏感で、医療費をいかに抑制するかという方向で、さまざまな政策が採られています。街の一般病院で採用されている8元前後(130円前後)の診察料も、我々からすればずいぶん安く感じられますが、上海の大部分の市民にとっては、やはり高く感じられるようです。そこで、年何回かは大学病院など大きな病院にいって有名な先生の診察をうけ、普段は地区の病院で済ませるという患者さんはよく見かけます。
 もっと診察料を下げてほしいという圧力があるのも事実。でもこれ以上下げると病院の採算が合わないので、今度は薬代を下げる方針で力が入れられています。



 中国の場合、所得の差が大きいので、それぞれが求める医療サービスに大きな違いがあります。いま、多くの病院は収益を上げるために富裕層や外国人を狙って営利性の強い病院の設立を目指していますが、これでは病院本来の意味が失われます。ほんのちょっとした血液検査で数千元というような病院も耳にしました。よっぽど最新の機械を使っているのでしょうか。

 一方で、出稼ぎに来ている地方出身者の多くは、上海で地元の公的健康保険が使えないため、ヤブ医者に騙されたり、病院にいくことすらしなかったりするようなケースが多いのも事実なのです。そこで、上海市では公的病院に対しては、コストをできる限り透明化し、どの病院でも均一の医療サービスを受けられるようにし、市民と病院との関係改善に努力しているのです。しかし、それでもトラブルは続出してるようで、医師と患者の関係はますます難しくなる一方です。

 先日、臓器移植を受けに海外から中国にやってくる外国人患者の話が日本のマスコミでクローズアップされていましたが、その前に移植を受けたいのに受けられない中国人の患者がたくさんいて、順番待ちであるということ、さらに移植ができないことにより彼らの治療費が圧迫されているという事実を我々は認識しなければなりません。

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類