私は、自分の祖国である日本に生まれたことを誇りにもっているし、中国に十数年生活しようと、やっぱり日本は大好きです。
でも、中国で生活していると、時にはなんとも説明し難い気持ちになることが良くあります。
これは、先日私の恩師である教授の外来患者診察のお手伝いをしていたときの話。
私は、中国語もまず問題ないし、見た目も日本人とはまず分からないので、中国人の患者さんと話をしていると、赤裸々な話をよく耳にします。
今日は、包頭から上海に治療に来ていたかなりご高齢の患者さんです。
このおばあちゃん、4歳ぐらいのころの記憶が、いまだに悪夢として出てくるといいます。
その悪夢とは、日本兵(一般に、日本鬼子や小日本と呼称します)が数人、いきなりドカドカとやってきて、4歳の彼女を抱きかかえ、いきなり床へたたきつけられたというものです。幸い命には別状はなかったけど、そのときの恐怖心は、いまだに心の中からよみがえることがあるといいます。
そしてこういったエピソードを問診している教授に話をします。
そういえば、私も4歳前後のころ、高熱を出してうなされたことや、交通事故に遭いかけたことなど、時々ふと脳裏によぎることがあります。幼いころ海外で生活していた思い出も時々走馬灯の如く思い出すことがあります。
しかし、このおばあちゃんのような恐怖心とはぜんぜん性格が違うものです。
彼女は、それが原因で腎臓の調子が悪いといいます。中医学と西洋医学の腎臓では、意味がまったく違うのですが、中医学では昔からこの恐怖心が腎臓を傷めると考えます。
中国で生活して、中国人と親しくなればなるほど、私が日本人であることをどのように表現するのがいいのか、悩むことが時々あります。また、そういった話題を故意に振り向けてくる人も少なくありません。そういうときに、日本人としてどう対応できるか。
私も日ごろから中国の日本へのマスコミの論調を見ながら、考えにふけることがあります。もちろん、この問題で上海人であり、かつ猛烈な読書家である彼女とも討論することもよくあります。
先日も、ある上海の新聞で、イラクから自衛隊の撤退の話が記事になっていました。そこの見出しに、「自衛隊が日本帰国時に現地からの感謝状を求めた」というような書き方になっています。すごい皮肉的な表現ですね。
日本のニュースを見ていると、この夏休みに中国へくる日本人観光客は増加するという予想が出ています。多くの中国人は私たちを暖かく歓迎してくれることでしょう。
しかし、中国での我々の言動は、中国の一般市民から絶えず注意されているということも忘れてはいけません。中国人が日本に自由にこられない昨今、中国にくる我々がまぎれもなく日本の代表と見られているのです。
2006年07月18日
暑い夏に古代人の知恵、緑豆湯はいかが?
NHKを見ていたら、世界の天気予報で上海の予報が出ていて、なぜか最近いつも「雨」。しかも最高気温が29℃、最低気温が23℃となっていました。これはどう考えても変ですね。ちなみの上海での明日の天気予報をラジオで聞いたら、最高気温が35℃〜36℃、最低気温が30℃、天気は晴れで雷雨があるそうです。
最低気温がついに30℃の大台に乗りましたね。いやー、暑い!
夏対策として、中医学では昔からいろいろな工夫がされています。やれ中医学、やれ薬膳と書けば大げさですが、体の温度を下げてくれて、さらに胃腸にも優しい中華料理の食べ物に、「緑豆湯」があります。
この時期、講演などがあれば、必ず皆さんにご紹介しているのが、冷たく冷やした、「緑豆湯」。この時期は非常においしい。
これは、緑豆そのものの性質と関係があります。緑豆は小豆よりもさらに小さい緑色の豆で、中華料理でもよく使われます。その性質は涼・甘なので、火照った体を冷やしてくれるけど、甘の性質から分かるように、内臓に優しいのが特徴です。
その中医学的功能は、熱を冷まして解毒するため、昔から毒性の強い生薬の飲みすぎなどで発生した中毒症状を緩和させるために使われました。さらに、「解暑」といって、夏の暑さを吹き飛ばしてくれる作用や、喉の渇きを癒してくれる作用もあります。利尿作用もあるので、熱を尿から出してくれます。
これが緑豆百合湯、熱いままでもいいし、氷を入れて冷やしてもGOOD!
この緑豆を使った料理の代表が「緑豆湯」で、中国人一般のごく普通の家庭料理として広く親しまれています。作り方は至って簡単で、100グラムの緑豆を30分ほど水に浸けて、私は炊飯器に水1.5〜2リットルの割合でいれて、砂糖を少々加えます。
炊飯器はご飯を炊く要領で調理開始。
緑豆を炊くときに、百合根なども一緒に入れて炊くと、さらにおいしくなります。百合根は生薬にも良く使われる食品で、中医学的には咳止めや、精神を鎮めてくれる働きもあります。
食べるときは、氷を入れたりして冷やすとおいしいです。夏場、冷やした緑豆湯を食べるとなぜか思い出すのが大阪の蓬莱「551」のアイスキャンデー。昔食べた味になんとなく似ているのです。
緑豆や百合根は上海のどこのスーパーにでも売っています。
最低気温がついに30℃の大台に乗りましたね。いやー、暑い!
夏対策として、中医学では昔からいろいろな工夫がされています。やれ中医学、やれ薬膳と書けば大げさですが、体の温度を下げてくれて、さらに胃腸にも優しい中華料理の食べ物に、「緑豆湯」があります。
この時期、講演などがあれば、必ず皆さんにご紹介しているのが、冷たく冷やした、「緑豆湯」。この時期は非常においしい。
これは、緑豆そのものの性質と関係があります。緑豆は小豆よりもさらに小さい緑色の豆で、中華料理でもよく使われます。その性質は涼・甘なので、火照った体を冷やしてくれるけど、甘の性質から分かるように、内臓に優しいのが特徴です。
その中医学的功能は、熱を冷まして解毒するため、昔から毒性の強い生薬の飲みすぎなどで発生した中毒症状を緩和させるために使われました。さらに、「解暑」といって、夏の暑さを吹き飛ばしてくれる作用や、喉の渇きを癒してくれる作用もあります。利尿作用もあるので、熱を尿から出してくれます。
この緑豆を使った料理の代表が「緑豆湯」で、中国人一般のごく普通の家庭料理として広く親しまれています。作り方は至って簡単で、100グラムの緑豆を30分ほど水に浸けて、私は炊飯器に水1.5〜2リットルの割合でいれて、砂糖を少々加えます。
炊飯器はご飯を炊く要領で調理開始。
緑豆を炊くときに、百合根なども一緒に入れて炊くと、さらにおいしくなります。百合根は生薬にも良く使われる食品で、中医学的には咳止めや、精神を鎮めてくれる働きもあります。
食べるときは、氷を入れたりして冷やすとおいしいです。夏場、冷やした緑豆湯を食べるとなぜか思い出すのが大阪の蓬莱「551」のアイスキャンデー。昔食べた味になんとなく似ているのです。
緑豆や百合根は上海のどこのスーパーにでも売っています。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類
2006年07月17日
高まる上海人の健康志向、100%果汁ジュースも激戦
暑くなって、果物が恋しい季節。
今日、カルフールに買い物にいったら、日本のカゴメが現地向けに売っている(日本から輸入されていない)「野菜生活」が並べられていました。カゴメの中国語名は「可果美」で、これはうまいネーミング。発音の語呂合わせもいい。
カルフールには、カゴメのペットボトル入りキャロットジュースもトマトジュースもあったので、やっと日本の企業もこの市場に本格参入か、といった感じですね。いや、むしろ遅すぎるぐらいです。
実は、上海人の間でこの100%ジュースが飲まれるようになったのは、ここ数年のことです。私の記憶では、90年代の半ばから後半にかけて、こういったジュースを買うのは一部外国人しかおらず、品数も欧米の輸入品がチラホラある程度で値段が非常に高かった印象があります。
そこに、切込みを書けたのが「味全」ブランドの100%ジュース。1000cc前後で価格は約12元、手ごろな値段が受けてか、「ジュースを飲むぐらいだったら果物を食べたらいい」程度しか思っていなかった上海人のこころをつかみます。中国では炭酸飲料やわけ分からない清涼飲料水が多かったけど、最近の健康志向の高まりで、多くの店にも並べられるようになりました。今ではローソンやファミリーマートなどのコンビニにもあります。最近では朝にちょっと飲んでいる小姐も見かけることが多いです。
それと前後して、中国の巨大牛乳メーカーの「光明」もこの100%ジュース市場に参入、価格もほぼ同じレベルに設定され、2社独占か、と思われるぐらい競争を進めていました。
「野菜生活」、中国語では「果蔬生活」となります
たとえば、「味全」ブランドがおまけに小瓶のジュースをつけると、「光明」ブランドもボトルのおまけをつけるなど、明らかに両者を意識した競争が繰り広げられます。さらに、隣同士の位置で売られることが多いため、ライバル意識はみえみえです。
そして、この2社独占の100%ジュース売り場に、最近カゴメもドンと売り場に面積を占めるようになりました。パッケージをみると、カゴメも「防腐剤なし、無着色、無香料、無砂糖、無食塩」を前に出しています。最近、こういった添加物の問題を気にする上海市民が増えているのです。
値段は、先行の2ブランドよりも1元〜2元程度高め。個人的には、味も濃く、果肉も多く、さらに日本で慣れ親しんでいたカゴメブランドが好きなのですが、今後の健闘を期待したい限りです。
多少お金を出しても、いいものがほしい。今まで安ければよいと思っていた市民の意識が、徐々に変わりつつあります。
そして、食に対する市民の経済の格差も広がりつつあります。
今日、カルフールに買い物にいったら、日本のカゴメが現地向けに売っている(日本から輸入されていない)「野菜生活」が並べられていました。カゴメの中国語名は「可果美」で、これはうまいネーミング。発音の語呂合わせもいい。
カルフールには、カゴメのペットボトル入りキャロットジュースもトマトジュースもあったので、やっと日本の企業もこの市場に本格参入か、といった感じですね。いや、むしろ遅すぎるぐらいです。
実は、上海人の間でこの100%ジュースが飲まれるようになったのは、ここ数年のことです。私の記憶では、90年代の半ばから後半にかけて、こういったジュースを買うのは一部外国人しかおらず、品数も欧米の輸入品がチラホラある程度で値段が非常に高かった印象があります。
そこに、切込みを書けたのが「味全」ブランドの100%ジュース。1000cc前後で価格は約12元、手ごろな値段が受けてか、「ジュースを飲むぐらいだったら果物を食べたらいい」程度しか思っていなかった上海人のこころをつかみます。中国では炭酸飲料やわけ分からない清涼飲料水が多かったけど、最近の健康志向の高まりで、多くの店にも並べられるようになりました。今ではローソンやファミリーマートなどのコンビニにもあります。最近では朝にちょっと飲んでいる小姐も見かけることが多いです。
それと前後して、中国の巨大牛乳メーカーの「光明」もこの100%ジュース市場に参入、価格もほぼ同じレベルに設定され、2社独占か、と思われるぐらい競争を進めていました。
たとえば、「味全」ブランドがおまけに小瓶のジュースをつけると、「光明」ブランドもボトルのおまけをつけるなど、明らかに両者を意識した競争が繰り広げられます。さらに、隣同士の位置で売られることが多いため、ライバル意識はみえみえです。
そして、この2社独占の100%ジュース売り場に、最近カゴメもドンと売り場に面積を占めるようになりました。パッケージをみると、カゴメも「防腐剤なし、無着色、無香料、無砂糖、無食塩」を前に出しています。最近、こういった添加物の問題を気にする上海市民が増えているのです。
値段は、先行の2ブランドよりも1元〜2元程度高め。個人的には、味も濃く、果肉も多く、さらに日本で慣れ親しんでいたカゴメブランドが好きなのですが、今後の健闘を期待したい限りです。
多少お金を出しても、いいものがほしい。今まで安ければよいと思っていた市民の意識が、徐々に変わりつつあります。
そして、食に対する市民の経済の格差も広がりつつあります。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類