2006年07月01日

社会の縮図、上海地下鉄

 今日からいよいよ7月です。1年もあっという間に後半戦に入ってしまいました。そうこうしているうちに、クリスマス、年末、春節となるのでしょう。

 どこの街にいっても、地下鉄の中をみれば、その街の雰囲気が分かります。香港でも、シンガポールでも、ロンドンでもそうでした。日本でも地下鉄に街のカラーがでますよね。だから見知らぬ土地に行ったとき、必ず公共の交通機関を利用してみます。

 上海の地下鉄車内ではいつも決まったパターンがあります。

 たとえば、上海科技館から乗ると、まずやってくるのが広告を配る少年たちの集団。半ば強引に名刺大の広告カードをばら撒いていきます。

 その次にやってくるのが、さまざまな物乞い。時には地面を這うようにやってくる物乞いもいます。姿が見えないだけに、「にょき」っと下から手が伸びてくると、こちらも驚きます。

 さらに、しばらくすると海賊版の地図や新聞・雑誌を売る人たちがやってきます。

 彼らはまったく非合法。だけど、それで生計を立てている人が少なくないのです。



無残に車内に捨てられた広告カード


 上海の地下鉄の乗客の平均年齢はかなり若い。とくにビジネス街やハイテクパークに直通する2号線はその傾向が強く、日本みたいに団塊世代のおじさんがいっぱいというのとかなり違います。ざっと見た感じ、2号線のラッシュ時の平均年齢は20代後半から30代前半ぐらいでしょうか。世界一高齢化が進んだ日本とは、かなり違います。

 先日地下鉄に乗ったら、いかにも田舎から来たというような団体と乗り合わせました。そのうちの一人のおじさんが、あまりの暑さのためかシャツを脱いで、上半身で座っています。中国らしいといえば中国らしいですね。

 もし日本だったら、注意されるんでしょうね。

 上海ではとくに誰も気にかけません。




 上海で快適に生活するには、やはり人との違いをしっかりと認識しなくてはならないと思います。この狭い上海に、本当にいろいろな人が混在していて、そのルールや価値観の違いにイライラしても仕方がないと思うのです。BMWに乗っているような人もいれば、裸足で街を歩いている人もいるのが中国であり、上海なのです。

 日本みたいに、価値観が似通っていて、例えばマナーやルール違反を注意すればある程度共通認識として理解されるけど、この中国ではそれが非常に難しい。新天地のような上海もあれば、上海駅の北側のような上海もあるのです。それが同じ上海であると考えるには、ちょっと時間が必要です。

 だから、中国に来てノイローゼになってしまう日本人が少なくない。

 肝心なのは現状を変えようとしたり、上海に流されたりするのではなく、日本人として、自分の自己を確立し、他人は他人、自分は自分といったアイデンティティーを持つことが大切なのではないでしょうか?

 そうするとイライラしなくなります。アイデンティティーがあれば、これが私のやり方だと再認識するので。もちろん、常識の範囲でですが…。


 私の場合、上海で並んでいて、他の中国人に抜かされても別いいと思っています。どうせいつかは自分の番が回ってくるのですから。
 「あんた、そんなに急いでどないすんねん」というような余裕的精神状態を持つように心がけています。

 タクシーでちょっと遠回りされたら?
 道を知らなかった自分の失敗だとあきらめ、だったら知らない土地の風景を楽しんじゃおうと思っています。

 高いものをつかまされたら?
 あまり法外な値段だったら、自分の常識から考えて買いません。そういう値打ちがないのですから。でも本当にほしいものだったら高くてもあまり後悔しないようにしています。少なくともそれぐらいの価値が自分にはあるのですから。

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類