2006年07月04日

席を譲るという行為

 今日も暑い上海です。
 ただ、台風の影響か、あつーい強風が吹いています。夏ばて防止のために、夜はエアコンなしでがんばっていますが、今日あたりはつけないといかないか。いや、がんばれるだけがんばります。


 
 さて、「上海人は席を譲るか?」という問題に対して、私の意見は「ノー」です。それも声を高くして「譲らない」といいたい。

 でも席を譲る人は上海でよく見かけますね。私の感触では譲る人の7割から8割はいわゆる地方から来た人、それも男性であり、地元上海人でとくに若者で席を積極的に譲っている姿はほとんど見たことがありません。皆さんはどうですか?

 その証拠に、バスの運営会社でもいろいろな試みを行ってきました。あるバスでは、車掌が積極的に車内アナウンスをして、「お年寄りがいるから、譲ってほしい」と呼びかけ、そうやって譲る人は、大抵50代から60代の中高年の人か、見るからに地方から来たと思われる若者。上海語でぺちゃくちゃしゃべっている学生おぼしき若者の多くは優先座席に座っていても知らんぷりということが多い。

  見るに見かねたあるバス路線では、ちょっと前に席を譲ったらバス回数券をプレゼントするというキャンペーンを行ったほどです。それぐらいしても、まだまだ譲る人が少ないと報道されていました。路線バスに乗る人はほとんど上海の地元の人ですから、譲らないというケースはやはり多いといえるでしょう。

 これは私の上海人に対しての偏見というわけではありません。実際に上海人の友達に聞いても、ゆずらない、と答える人が多いし、お年寄りを見たら狸寝入りする、という人も多いのです。

 むしろ逆に上海人の一人っ子など、譲られるケースが多いのではないのでしょうか。3歳から4歳ぐらいの子供が中高年に席を譲られているケースは車内でよく見かけます。子供は「宝宝」ですからね。
 
 一ついえることは、地方から上海に来ている人の多くは、いまだその地方の伝統的な習慣を守っているところが多いという点です。

 保守的である一方、お年寄りを敬ったり、家族のつながりを大切にしたりすることが、地方にいけば行くほど色濃くなります。ちょっと中国の地方に旅行にいけば、すぐに上海との違いを感じることができますが、やはり親切さや人情も、地方のほうがずっと濃いのです。見た目には貧しいけど、いいものが残されている。
 文革のときの嵐を免れたのも、圧倒的にそういった地方に多い。上海などは嵐できれいさっぱりながされました。

 あまりにも急速に発展してきた上海だけど、その分忘れられてきたものが多い。忘れられてきた文化や思想を取り戻そうとする動きは、昨今ないことはないのですが、まだまだないに等しいと思います。これからの変化に期待したいものです。

 私本人はというと、上海に来て、日本にいるときよりも席を譲ることが意外と平気になりました。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類