2006年09月19日

腎不全でもなにか方法があるはずだ

 今週は日本からいらっしゃっている永田医師の通訳・解説をしながら、中国で行われている腎疾患の中医学治療について、いろいろご紹介しています。私の恩師の外来は、中国全国のほかにも、欧米など世界中から患者が訪れてきます。

 慢性腎不全など腎疾患の多くは、西洋医学的にも決め手となる治療の手立てはなく、非常に難しい分野です。

 日本でもいろいろ研究が行われていますが、やはり腎移植や透析以外にこれといった治療法はありません。この永田医師も日本の東北地方で開業しながら、腎不全の患者と漢方を活用しながら日々格闘なさっています。

 そんな腎疾患に対して、中国では中医学が活用されているという話を日本の西洋医師の方に話をすると、医師からは信じられないばかりではなく、正直馬鹿にされるようなこともあるぐらいです。腎機能が改善したというエビデンスが出せないような治療はウソだということなのでしょう。学会で中医学や漢方で改善された症例を発表しても、まともに聞いてもらえないというような話しをよく聞きます。というわけで、私も日本の先生方にはめったにこの話をしません。だけど、永田先生のように漢方と取り組んでいらっしゃる先生もおられ、そういう時は非常にうれしい限りです。

 私もこちらで中国伝統医学の医師資格を取得して、恩師とともにいろいろな研究や症例を数年間にわたるスパンで患者を観察してきました。その結果、やはり腎不全患者に対して生薬が効果があることが実感できるようになってきました。


中国の病院もきれいになりました


 中医学で「腎虚」とかいいますが、ここでいう腎不全は腎虚とはまったく違う考え方です。我々が研究を行っている中国の腎臓専門の中医学の内科では、腎生検の結果から、たとえばIgA腎症、膜性腎症など病理学のタイプに分類し、さらに細かく弁証を進めていきます。子供のネフローゼ患者に対しても、生薬と併用することによってステロイドの量を半減することもよくあります。詳しいことは、入門編として日本の東洋学術出版社から出ている雑誌「中医臨床」に、私も執筆に参加した特集があります。ぜひごらんになってください。

 そのほか、日常のちょっとした変化にも生薬を活用します。腎疾患患者に多い高血脂血症に対しても、生薬をうまく用いることによりコレステロールや中性脂肪をうまくコントロールしています。とくに、中国の食生活ではその危険性が極めて高い尿酸値の問題に対しても、Colchicineなど副作用が強い新薬の使用を極力避けるようにして治療を行っています。透析患者に多い全身のかゆみにも生薬は対応します。一部の先生方が、生薬服用はカリウムの増加を招くと批判されますが、むしろ西洋医学の免疫抑制剤の副作用をなどを考えれば、まだマシで、実際に生薬が原因でカリウムが増加したという患者はほとんど見られません。

 この日、実際に永田先生もループス腎炎や紫斑病性腎炎の患者で、生薬を服用することにより症状が安定した患者を何例も見られ、さらにクレアチニンが劇的に下がった患者も少なくなく、非常に驚かれていました。
 日本では、中医学と西洋医学を併用する治療法は邪道だといわれることもありますが、相乗効果を高めるためには、我々はよく使います。小児科のネフローゼの治療などはその代表的な例でしょう。


 こうやって腎不全患者に生薬が使われている中国では、中国ならではの事情があるのです。特に中国では、まだまだ公的医療保険が全国に広がっておらず、透析をすることに対して十分な保険適用が行われていません。だから、いかに患者の透析を遅らせるかというのが大切な問題なのです。

 一方で、日本でも事情は同じで、日本では透析患者の増加が地方財政を逼迫していて、そのためにいかに治療を進めていくかというのは今後の大きな課題なのです。

 いずれにしろ、日本を含めた世界になんと言われようと、中国では腎疾患に中医学を導入している治療が行われているのは事実で、中国の中医師たちが日々格闘しているのです。
 
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2006年09月18日

あらためて「スリに注意!」

 人ごみの中、人民広場周辺の雑踏を歩いていたときの話。実際に体験したことです。

 いつものようにカバンを首からかけて街を歩いていたら、どうも後ろの雑踏がサワサワときになります。
 ふと後ろを振り向くと、新疆ウイグル系らしき少年たち数人が私の後ろにぴったりとついて歩いていて、一人の手が私のカバンのファスナーにかかっていました。

(私はいつもカバンの中に財布を入れておらず、この日も新聞しか入っていなかったのですが。。。)

 そのまま、コブシで相手を払いのけたら、今度はそのグルと思われる少年たちの数が膨れ上がり、一斉に私のほうに向かってにらみつけてくるではないですか。。。

 ちょっとぞっとしましたが、何食わぬ顔で雑踏の中に私は消えうせました。
 夕方の帰宅時で、普通に歩いていても体が接するぐらいの混雑です。

 改めて教訓、ウイグル系の少年集団に混雑の中で出会ったら要注意も要注意。かれら集団は、漢民族とはまったく違った顔立ちをしているので、それとすぐ分かります。

 これはあるその手の人から聞いた話ですが、ウイグル系の少年が上海で起こした軽犯罪は、取り締まるのが難しいとのこと。実はこれにはふか〜いワケがあるのですが、ここでは書くのはやめます。

 これから国慶節休みを迎えて、いろいろな人が上海に流れ込みます。 最近も、我が上海奈良県人会の幹事の一人も、スリの被害に遭いました。それも地下鉄の切符を買った直後にすられたかなり高尚なスリ。

 確かに上海の治安は良いですが、人ごみのスリだけには要注意を!!特に、淮海路、福州路、南京東路周辺などです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2006年09月17日

ご無沙汰してしまいました。。。

 どうもご無沙汰してしまいました。

 実は今週一週間、日本から腎臓病の専門家が病院に来られていて、そのお世話にをさせていただくことになりました。

 ときどき、日本のドクターが病院の研修や見学に来られるのですが、今回は私が研究している分野と同じということもあり、私の恩師の外来診察の見学ということになったわけです。

 まったく面識のない先生なので、夜に浦東国際空港に迎えに行くときも、紙に先生のお名前を書いて掲げるという、すごく原始的な方法で。私のほうも、ちょっと緊張します。

 日本の医学会で、中医学を本格的に治療に導入されているという先生はきわめて少ない中、こうやってはるばると中国にまで勉強に来られるドクターの最近いらっしゃるようになりました。 

 もちろん、日本で看板に「漢方」とか「東洋医学」とか掲げている医師は少なくないのですが、日本で中医学や漢方をしようと思ったら、結局は独学に頼るしかなく、臨床家にとっては「やりたくても、手をつけにくい」やっかいな存在であるのです。

  

上海体育場周辺
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類