2006年09月01日

スリッパのない旅館

日本温泉学会の関係で、いま鳥取県岩井温泉の岩井屋にいます。

 途中、城崎温泉を経由して、「鴻の湯」という城崎温泉で一番古い外湯にはいってきました。温泉情緒あふれる城崎温泉ですが、今日の泉質はどうもいまひとつでした。あと、外湯の値段の高さがかなり気になる。ドライヤーの使用ですら100円払わないといけなし。さらに、温泉街に気楽に昼食に入れる場所がない。旅館などの施設は確かに多いけど、こうやって宿泊しない客にとっては、温泉街はほんとに不便なのは仕方がないことかもしれないけど。


城崎温泉にて


  今回の温泉学会出席は今回の夏の日本滞在の最後のビッグイベント。毎年、夏の日本滞在では温泉を切り離すわけにはいきませんが、やはり中国では味わえない本当の温泉を体験したいものです。

 岩井温泉は、1300年の歴史を誇る、山陰地方最古の温泉といわれており、別名「ゆかむりの温泉」といわれています。「ゆかむり」とは、このあたりに江戸時代から続く独特の風習だそうで、唄にあわせながら、小さな柄杓でポンポンと湯をたたいて、頭から湯をかぶるというもの。温泉の効能が長く持続するようにという昔の湯治の知恵だそうです。

 岩井温泉の水質は「芒硝石膏泉」で、飲用もできる泉質です。外用ではアトピーなどの皮膚病、内服では不妊症や便秘、ヒステリーにも効果があるようです。芒硝にしろ、石膏にしろ中医学をする私にとっては非常になじみの生薬で、前者は便秘に、後者は解熱によく使います。そういったところからも、薬用として使われる温泉の効能については、興味が尽きません。



 この岩井屋、知る人は知る秘湯の温泉旅館で、日本の伝統的な温泉旅館の面影を色濃く残しています。もちろん、厳選された「日本秘湯を守る会」の会員でもあり、源泉かけながしの本物の温泉です。
 いつも中国のホテルなどに宿泊することが多い私にとっては、今回の温泉宿はかなり深浅でした。まず衝撃的だったのは、館内にスリッパが用意されていないこと。素足で廊下を歩くことができるのは、それだけ掃除が行き届いているという証拠。さらに、館内には日本文化を色濃く表現したインテリアがあり、おかみさんの細かい気配りがいたるところで感じ取られます。

 客室に飾られている花も、おかみさん自身が付近の山から採取してきたものらしく、季節感たっぷりです。




途中、2010年までに架け替えされる1912年開通の山陰線餘部鉄橋を見学 


 ここのお風呂の特徴は、全国で3番目に深いとされる浴槽。水深は深いところで1メートルはあり、浅いところに腰をかけると、胸ぐらいまではゆっくりとつかることができます。浴槽の底に目を凝らすと、スノコがひいてあるのですが、ここからは源泉が湧き出ていて、そのあぶくを観察することができました。

 岩井屋さんは、また料理がすごい。その中でも、10年物といわれる岩牡蠣を食することができました。非常に巨大で、すごくジューシーな味。身は引き締まっていて、特性のタレでいただきました。
 
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類