上海に戻ってくると、もう息つくもない忙しさとなってしまった。
やっぱり、私にとっては上海の生活ペースがあっているように思います。
今回のお土産でもって帰った日本包丁、彼女に使ってもらったら軽くて、小回りが利いて大変使いやすいと好評でした。中国の包丁は非常に重いので、やはり女性には向かないのかもしれません。日本の包丁、お土産にお勧めです!
今日は朝から病院へ。知り合いの医師と最近の中国の中医学(中国伝統医学)について雑談をしていたのですが、いま結構本場中国の中医学が、いや医療全体がピンチなのが現実なのです。
その大きな原因のひとつに、巨大化する中医病院があります。すなわち、少しでも収益を上げようとするために、他病院の西洋医学の科を引き抜き、スタッフをすべて引き連れて新しい科を作ってしまうというようなことが平気で行われています。もともと治療コストが安い中医学ですから、中医学だけでは収益があがらない。そこで、西洋医学の科をくっつけることにより、治療費や検査代を増やそうというわけなのです。
どれぐらいコストが違うかというと、たとえば骨折した場合、西洋医学なら1万元前後する手術が、中医学で骨折の治療するとなんと100元程度となるような場合もあります。患者サイドからすれば、うれしいことなのですが。
さらに、法制度のあいまいさが、いま中医病院を苦しめています。
すなわち、伝統的にいままで中国では中医師は西洋の薬も、生薬も両方処方できていましたが、それをできなくしようとする法制度が徐々に進んでいるようです。そのため、多くの西洋医学の病院では、中医学の医師を必要とせず、中医師の就職問題が深刻化しています。
いまでも、西洋医学の病院で、西洋医学の科なのに、なぜか中医師を雇用している病院があるようですが、今後は徐々に違法として扱われるようです。すでに、西洋医学の病院で、中医学のライセンスをもっている医師の研修を断っているところも中国で出ています。
また、現在、患者と医師との関係が逼迫しており、医療訴訟が絶えない現状があります。ある上海の総合病院では医療事故が前年比100%を超えるスピードで増加しているというデーターが公表されていました。この背景には、患者の意識の高まりがあります。
つまり、単なる医療事故として医療事故を審査する公的専門機関にクレームを出すよりも、裁判所に直接訴えたほうが、賠償額が大きいという点を利用して、とにかく何でも病院を裁判所に訴えようとする動きが出始めています。中国の場合、多くのケースで患者が勝訴することが多いため、経済的に割があうというようなこともあるようです。
そのため、患者側も情報収集に必死です。
たとえば、病院の患者に対する対応に不満をもった患者が、医師が記載中のカルテをこっそりデジタルカメラで撮影したり、最悪、入院カルテをナースステーションから取り上げて、医者に見せないように家に持ってかえる患者の家族も多く、病院では対応に苦慮しているようです。持って帰ることにより、カルテの記載ミスや表現の間違い等を洗い出すのだそうです。
上海の患者の多くに、まずは騒いだほうが勝ちというような風潮もあり、医師とケンカをすることが当たり前という事態もかなり深刻でしょう。
その結果、いままで政府関係機関に投書されるクレームでもっとも多いのが不動産関係のトラブルであったのに、近年では医療関係のトラブルが不動産関係を抜かし、堂々トップに躍り出ているという点も理解できます。
2006年09月05日
中国の中医学はこのまま沈没してしまうのか?
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類