ザリガニネタは、毎年どっかで書いているので、まあ得意分野といえば得意分野なのですが、しかし実際に食べたことがないのは問題なので、今回の執筆では思い切って食べてみることにしました。
今年は、ザリガニ人気のあおりをうけて、上海カニの売れ行きがいまひとつ。特に「六月黄」と呼ばれるこの時期しかない上海カニが売れていない。それほどザリガニがすごいのか?まあ、確かにすごいでしょう。ザリガニだけを食べさせるチェーン店が上海市内に登場しているわけですから。
今日いった店は、復茂と呼ばれる割と早くに有名になった復興路のチェーン店に出かけました。
メニューをみて驚き。本当にザリガニしかないのです。もちろん、いろいろなスパイスで調理していましたが、基本的にザリガニ一筋。日本にいるとき、ザリガニを何年も飼育したことのある私にとっては、何か複雑な気分です。
結局、このレストランで一番のお勧めのザリガニ料理をいわれるままに食べたけど、料理の名前も忘れてしまうぐらいたいしたことなかった。はっきりいってまずい。
私は、このザリガニの食文化は、一種の中華料理の衰退を表しているような感じがしてなりません。ザリガニはもともと中国にあったわけではなく、もちろん外来種。だから中国の、いわば経済一本志向で突っ走ってきた時代の産物なのです。味としてもきわめて単調、だけど逆に化学調味料漬けの中華料理で育ってきた今の若い世代にとっては、受けるのかもしれない。だって、これだけはっきりと味がつけられているのだから。
何より、ザリガニには上海ガニのように、歴史もなければロマンもない。スパイスをいっぱい効かせているから、味はどこも同じ。上海ガニ食文化に比べると、なにか薄っぺらいものを感じてしまうけど、これがなぜか今の上海人に受けている。
しかし、一昔前の上海カニといえば、俗っぽく言えば「貧乏人が食べるもの」だったそうで、ひょっとするとこのザリガニもあと数十年もすれば、高級料理として扱われることになるのだろうか?
ところで、ザリガニはどこを食べるものなのかと周りの若い女性が食べているのを観察すると、やっぱり尻尾らしい。確かに、はじめの1、2匹を食べているときはそれなりにおいしいように思ったが、これが500グラムとなるともうお手上げです。
しかし、周りの人たちは黙々と尻尾を食べている。
結局、私はお腹を十分に満たすことができずに、店をあとにしたのでした。
500グラムのザリガニで25元ほど。料理の中身からすれば高すぎるように思うのは、私だけでしょうか。