2006年09月09日

人間の生命力はその程度じゃない

 このブログにも以前登場した私の祖母ですが、胃がんであり手術をするか、しないかを迷っていたと書きました。その事後段を報告していないように思うのですが、実は本人は手術を決断し、手術は無事に成功しました。親戚一同は手術反対だったのですが、やはりここは個人の意見を重視した結果のことです。

 80歳をこえての胃の三分の一を切り取る手術ですが、やはり術後はいろいろと大変だったようです。もともと食欲が私の母よりも旺盛だったのが、すっかり食べられなくなり、歩くこともままならない時期がありました。一人で生活している祖母ですが、さすがに親族の援助がなければ、生活にも支障がでていました。手術後がこんなにつらいとは本人も気がつかなかったようです。

 その後、祖母の看病をしていた人たちが、過労でつぎつぎと体調不良を訴える中、祖母はこれではいけないということで、必死の復帰をがんばりました。

 私も感心するのですが、祖母は80歳をこえても声は大きく、好奇心が旺盛です。さらに私たち孫の将来をじっくり見届けたいという願望が非常に強く、その生命力はそばにいるだけでもオーラとして感じることができます。
 考えてみれば、孫の行く末を見ることは、どんなテレビドラマよりも楽しいですからね。

 胃がんのあと、胃は小さくなったのですが、だからといって口から食べないというわけにはいきません。一時、点滴に栄養補給を頼っていた時期もあったようですが、西洋医学では術後のケアというのが何もないのが現実です。

 そこで、かねてから通っている鍼灸師のところで、針灸とマッサージをしてもらい、最近になってその効果が出てきたのか、食欲が戻ってきました。食欲が戻れば、歩いたりすることも時間の問題で、最近ではヒョコヒョコと歩けるようになり、百貨店へも自分でいったりしているようです。


 癌と告知されたその瞬間に、多くの患者さんは気が滅入ってしまいます。
 実は、癌の告知自体が患者の寿命を縮めてしまっているというようなことも言われています。もちろん、告知をするな、というのではありません。しかし、患者側に医者の言動に耐えうる正しい知識、人生に対する哲学と理念がなければ、闇雲に不安感をあおり、患者自らの生命力を絶ってしまっていることが多いように思います。

 事故など特殊なケースを除いて、人間はそう簡単に死ぬことはありません。時には自分の生命力を信じることも大切なような気がしました。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類