2006年09月30日

「焼き餃子」と「鍋貼」

 ラーメンと餃子といえば、日本で言う中華料理の代表格で、日本で売られているラーメンはいわゆる「日本式ラーメン」で、本場中国にある中国の伝統的なラーメン店にはないということは、非常に有名な話です。

 では、餃子は?というと、やはり「焼き餃子」は日本独特の餃子であり、台湾にそれににたものはあるようですが、上海ではまず食べないものです。

 そんな「焼き餃子」を今日作ったら、上海人の私の彼女のおおうけして、少しは名誉挽回できたかな?とか思っています。(彼女、実は自分で料理を毎日するものだから、当然料理には厳しくて、いつも私の料理にはクレームがつきます。)

 水餃子は北方でよく食べられます。「焼き餃子」に比較的近いものとして「鍋貼」という餃子の食べ方がありますが、これは「焼き餃子」とまったく別のものと考えていいでしょう。そういえば昔、当サイトのスーパー食いしん坊たちに餃子ネタで記事を書いたことがあります。こちらもご参考に。
 

 なぜか上海でとんでもない人気になっている「味千ラーメン」で日本の焼き餃子を知ったという中国人も多いのですが、では焼き餃子の何が中国人にとって新鮮なのか?

 私が思うに、まず焼き方だと思います。今はなき大阪千日前にあるラーメン店「永楽」で餃子焼きのバイトをしていたことのある私なのですが、焼き餃子のポイントはやはり微妙な火加減とフライパンに水をいれたあとの蒸し方です。水を入れすぎると、餃子が水に浸かってしまうし、少なすぎると焦げてしまう。この「アンバイ」をうまくすれば、パリパリとやわらかさがうまくハーモニーを作った餃子を作ることができます。

 残念ながら、中国本場の鍋貼にはそれがない。だから、餃子が単調になってしまい、数個食べると飽きてしまう。

 そして、鍋貼は皮が分厚い。その証拠に、餃子に皮を食べないで、具だけを食べる「不届きもの」は、上海市内で多く見かけます。日本の焼き餃子はもちろん薄い皮が特徴。皮が薄くなければパリパリ感は表現できません。

 

 そして、決定的に違うのが、具でしょう。中国北方の餃子はいろいろな野菜を入れることが多いのですが、上海の鍋貼はまず肉だけ。ニラやら白菜、シイタケなど野菜をたっぷり入れる焼き餃子は、上海ではまず見かけない。

 実は、中華料理には厳格に野菜に組み合わせが決められているのです。たとえば、いり卵だったら、組み合わせはトマトというふうになっているのです。ここに、仮にたまねぎを入れてオムレツ風の「番茄炒蛋」とすると、それはもう中華料理ではなくなるのです。

 中国人が日本にいって、日本の中華料理をたべてがっかりするのは、その多くの店で中華料理の「黄金の組み合わせ」が守られていないから。でも、日本人はその点、アレンジが上手だから、結構いろいろな組み合わせを楽しんでいますよね。

 餃子に関してもそうなのです。具にいったい何を入れるか?というのは大きな問題で、往々にして奇想天外な組み合わせは出てこない。この点が、本場の餃子と舶来品の餃子の違いなのでしょう。

 中華料理は炒めたら終わりとも思われてますが、実はこの組み合わせが奥深いのです。ちょうど中医学の生薬を配合するのと同じように。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類