2006年10月22日

網で小川の上海蟹をすくう人たち

 あいにくの天気の日曜日でした。曇っていて、さらに時折スコールのような雨で雨宿り。。。

 実は、この日は愛車に乗って、上海浦東の南側エリア、すなわち浦東国際空港のまだすこし南にある東海鎮までサイクリングにいってきました。
 途中、孫橋、川沙、六団、浦東国際空港を経由して、東海鎮というルートです。その先、海まで行く予定でしたが、大雨に見舞われて断念。結局往復100キロほどのショートトリップです。

 浦東新区を北に進んで、崇明島にいったときはのどかな田舎の風景を楽しめたのですが、逆に浦東新区を南に進むと、車の排ガスといい、ごみといい、環境の悪化を身をもって感じ、上海の環境行政の難しさを肌で感じました。結論から言うと、いま郊外で進んでいる都会でもなくて、さらに農村でもない、中途半端な都市の現状を目の当たりにしたのです。このことについては、明日にでも書きます。

 今日はまずサイクリングに見かけた興味深い風景。


途中、彫刻付きの古い石橋を発見。あたりの村は取り壊されて、更地でしたが。。。


 ちょうど浦東新区の川沙あたりを走っていたときのことです。

 川沿いでおっちゃんやおばちゃんが網で川岸をすくっています。
 ザリガニでも採っているのかと思えば、そうではなく、実は川を上ってくる上海蟹をすくっているのでした。

 上海蟹はご存知のように、汽水で産卵して親は海のモクズのように死んでしまい、(それで日本でモクズガニというのでしょうか?)卵からかえったコガニたちが上流の沼を目指して上っていきます。そのため、上海近郊の川には、まるで日本でザリガニを捕まえるように蟹がウヨウヨしているのです。

 この時期、まだ小柄な蟹がどんどん上流を目指して進んでいきます。

 付近のおっちゃん、おばちゃんたちは柄の長い網を持って、川の土手をほじくると、中に三センチほどの上海蟹の子供が入っていました。


こうやって川を網で探ります。(ドブ川でしたが)


 で、この蟹をどうするのか?ってきいてみると、食べるのではなく、家の沼に放流するそうです。そうすると、蟹はどんどん大きくなっていく(ハズ)です。

 網で捕まえられた蟹の数は半端ではなく、ちょっとすればバケツに「うじゃうじゃ」というほど蟹が入っていました。

 いまでこそ、商売人が騒ぎ立てるものだから、蟹の値段がどんどん上がっていますが、一昔、蟹なんて全然価値がなかった、という話は崇明島の農家の人に聞きました。その当時、ブタのえさとしていたぐらいなのですから、想像に難くないでしょう。

 いずれにしろ、この時期の江南地方では蟹なしでは語ることができません。蟹はまさに上海の食文化なのです。

 


黒いのはみんな上海蟹。けっこう大きなのもいました。楽しそうです。


すごく小さい上海蟹です。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2006年10月21日

ふか〜い甘さ、サトウキビの魅力

 今が旬のサトウキビ。上海の街中を歩いていても、大きなサトウキビを見かけませんか?長さ2メートルから3メートルほどの竹のような長い茎です。これがこの時期うまいのです。

 ところで、このサトウキビにもいろいろ種類があって、上海近郊、とくに崇明島などで見かけるサトウキビは、甜芦筍(上海語でディリスン)といって、茎が緑でまさに竹のようで、少し細め。一方、上海本土で見かけるサトウキビは、茎が濃い茶色で、中国語でも甘蔗といいます。いわゆる黒砂糖の原料となるのは、甘蔗のほうで、絞った汁は白っぽいのですが、おいておくと茶色く変色してきます。

 日本でも地方によってはサトウキビはなにも珍しいものでもなのですが、私のように大阪出身のものにとっては、正直言って上海に来るまでは見たことも食べたことがなかった。中国に初めてきた10数年前、中国人がなにをムシャクシャしているのだろうと、不思議に思ったのをよく覚えています。

 食べ方はかなりワイルド。ナタをつかってサトウキビの皮をはがし、節ごとに切って、顎の力で噛み付きます。するとどうでしょう。甘い汁が口の中で染み出してきます。とくに、糖度が清涼飲料水のようにしつこくなく、後口がすごくいい。特に、スポーツなどをしたあと最高です。今では、上海近郊にサイクリングにいったときは、必ずといっても良いほど食べるようにしています。

 


これが甘蔗


 甜芦筍に初めてであったのは崇明島です。もう何回も島に行っていますが、秋になると甜芦筍ばかり売っている通りができるぐらいです。それほど人気があるのです。崇明島にいった上海人の定番のお土産になっています。

 甜芦筍は甘蔗と比べると、皮も厚く、食べるときにはかなり顎の力が必要。こちらは、ナタで皮をはがさないので、歯で皮を剥いていきます。糖度はこの甜芦筍の方が高く、甘さにもコクがあるように思います。茎が細い分だけ噛み付きやすく、かなり味わうことができます。

 いずれも食べかすが出るのが欠点で、それが列車などに乗るときに床に散らかっているのです。マナーの悪さには閉口しますが、私はビニール袋をもって食べます。口のなかにジワット広がる汁がたまらない。中医学的にも、喉を潤す作用や、解毒作用、気のめぐりを良くする作用などもあり、健康的な食品の一つといえるでしょう。


そしてこちらが甜芦筍


 街を歩くと、サトウキビジュースを造ってくれる移動屋台を見かけます。1杯1元〜2元程度。サトウキビを大量にすりつぶして、ジュースにするのです。こうやってゴクゴクのむと、また味わい方も格別です。喉が渇いているときは、特においしい。

 私も、もしいいサトウキビを使っていて、清潔そうだったらそれこそペットボトルを持っていって、そこに作ってもらいます。グイっといく喉越しが大好きです。昔の人は偉いものです。栄養もあるので、本当によくできていると思います。


このおじさんは手動で搾り出していました ごくろうさまです


 サトウキビはまさにこの時期しか市場に出てこない旬のものなのです。

ちなみに、中国の子供は、サトウキビを噛むことによって顎を鍛えることができるようです。私の彼女も子供のころによく食べさせられたといっていました。なるほどねえ。

 日本人と中国人をぱっと見て比べたとき、日本人に歯並びがよくない人が多いのは、やっぱり噛むことが少ないことが原因なのでしょうね。


絞りたてが最高です!
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2006年10月20日

静安区の同楽坊

 最近、上海でちょっと話題になっている場所に同楽坊があります。

 これは、趣向としては上海の観光スポットとなってしまった「新天地」のような系統のアミューズメントスポットを目指すもので、場所は地下鉄静安寺からさらに北にのぼっていって、西康路と余姚路の角にあります。
 交通は、新天地に比べるとかなり不便。とくに夕方繰り出そうものなら、タクシーでの移動になってしまうし、バスで行こうと思っても、かなりの上海通ではないと路線を見つけ出すのは難しい。

 新天地と大きく違う点は、新天地が古い住宅、いわゆる石庫門を再生したのに対して、同楽坊は古い工場の再生を試みている点です。

 もともと1940年代前後の工場が集まっていたこのエリアですが、その後上海市政府の都市再開発に伴い、2005年4月にベンチャー企業などが集まって新しいタイプの娯楽地を目指したようです。

 総面積は2万平方メートル、総投資額2億元。確かに、おおきな建物が多く、それなりに雰囲気はできていました。

 ただ、完成したというのも名前だけで、まだまだ多くの場所が工事中。私も金曜日の夜に訪れてみましたが、どこの店も閑古鳥が鳴いていました。

 私が出かけたのは、夕方の6時半ごろ。同楽坊のメインストリートを歩いていたのは、私だけでした。

 計画によると、店舗の7割以上がバーやレストラン、芸術関係の作品を売る小売店だそうですが、果たしてどうなるか?今のところ、一部は営業を始めていましたが、どこも工事中。こういう完成の仕方っていうのは、いつも思うけど中国らしい。

 さらにかなり鳴り物入りだったのが、世界でも有数のファッションモデルの会社がここにバーを開設していて、若いアーティストたちに発表のチャンスを与えるというもの。しかし、金曜日の夜だいというのに、この暗さではなあ〜。

 崇明島とかだったら、人がいなくても違和感無いけど、こういう場所で人がいなければ、話にならない。

 

 香港の瑞安集団が上海新天地を成功させて、上海の各区でも「・・・新天地」と名をつけて、すっかり使い古された「新天地」という言葉。

 実は、我が家の裏にある「大拇指」広場も「浦東新天地」とウワサされてOPENて、1年以上たってやっと結構店も詰まってきたけど、まだまだ当初の見込みに達していない。

 投資、投資とハコを作るのは良いけど、実際にどういう店がどの程度はいるのか、そしてOPENするときぐらいは、我々がいきたくなるような空間を作っておいてこそ消費者の足が向くのに、いつできるかわからないというのでは、話にならない。

 最近の上海の娯楽施設、どこも同じようで、みんな高所得者がたくさん消費することを狙っているけど、そう思惑通りになるか、かなり疑問を感じている昨今です。

 私は正直言って食傷気味で、週末は家でゆっくりくつろぐ派になってしまいました。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類