2006年10月17日

やっかいな上海蟹のシーズン

 10月も中旬から下旬に移り変わろうとしていますが、とりあえず上海では上海蟹の旬になります。上海蟹といっても、日本で言う「モクズガニ」とほぼ同じ(完全に同じではない)ので、これといって珍しいものではないのですが、それでもこれとはばかりに盛り上がります。

 実は、一昔前、蟹といってもそう重宝されるものではなく、市民の気軽な水産物の一つだった。それが妙に商業化されてしまって、値段がつりあがり、今ではちょとした上海の高級料理の部類に入っています。

 でも、接待、接待がつづいてしまうと、その上海蟹も決してありがたいものではない、というのが上海にいる日本人駐在員の本音ではないでしょうか?



 ところで、腎臓病の中国人、主に江南エリアにすむ患者さんにとっても、この時期は特につらいものなのです。
 なんといっても、あの「大閘蟹」(普通語ではこのようにいいます)を食べることができないのですから。

 我々からしてもこの時期は特に要注意なのです。

 せっかく生薬などを使って症状をコントロールできていた患者さんが、
「先生、また尿タンパクが。。。」
 と訴えてくるのがこの時期。

「ほら、トゥハザ(上海語でいう上海蟹)でしょ?」
と聞いてあげると
 
 十中八九は
「テェーガ」(上海語でいう「はい」)」
という答えが返ってくる。

 家族がおいしそうに食べる蟹を見て、
「すこしぐらいいいや」と口がいやしくなり、食べてしまったために、腎臓病を再発してしまった患者さんをよく見かけます。

 でも、ズワイガニやケガニを知らない彼らにとっては、上海蟹はおそらくもっとも身近でボリュームのある蟹なんでしょうね。

 私も上海で生活して、その気持ちがすごく分かります。

 でも、この上海蟹ですが、農薬や環境破壊の問題など。今年も話題に事欠くことがありません。毎年のことですが。。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類