2006年12月28日

緊迫する医師と患者の関係

 上海のFMラジオを聴くことがある人なら、きっとご存知でしょう。

 最近、CMの中で、企業協賛の公共広告があるのですが、そこで上海の某大病院の院長が出演して、市民に対して、医師の医療行為への理解と協力を求めています。
 こういったCMが流されている背景には、医師と患者との関係が年々複雑化していることがあるのです。

 深センの某民間病院の話ですが、医者も看護師もヘルメットをかぶって出勤しているといいます。ヘルメットは病院が支給したそうです。実は、この病院ではある患者を手術し、手術後の経過は順調で17日後に退院しました。ところが、退院手続き中に突然呼吸困難となり、患者がなくなってしまいました。
 患者の死因について、病院側が患者側に説明してものの、患者側は納得せず、さらに患者側は病院側の法医学による解剖を拒み、横断幕を掲げて暴力沙汰にまで発展しました。病院側では、裏にあやしい組織があるとして、公安とともに調査に乗り出していますが、このような医療をめぐるトラブルが、中国で頻発しているのです。

 もちろん、背景には国営企業の典型ともいえる中国の病院システムそのものに問題があるかもしれませんが、患者側もなんとかミスを見つけて、賠償金を稼いで退院してやろう、という魂胆がある人も少なくない。患者側からすれば、医師や病院がお金を稼いでいるように見えるのが腹立つというのもあるのでしょう。

 確かに、中国には人が多く、マーケットの魅力も大きいけど、リスクも同じように大きい、そういう典型的な事例だと思います。

黄浦江の船の上で生活する人たち
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2006年12月27日

日本の学校給食はよくできていたな、とつい思ってしまった

 栄養士さんが栄養のバランスを考えながら作られる献立。日本では、すごく当たり前のことですよね。私が小学生だった80年代も、それはそれでしっかりとしたメニューが作られていて、配膳なども自分たちでやりました。給食当番なんかもあったし、残さず給食を食べようと厳しく指導された記憶が残っています。小学校でのこういった「しつけ」は、非常に大切だと思います。

 一方で、上海ではというと、なんとまだ全上海で栄養に携わる人員が100名たらずで、有資格者となるともっと不足しているらしい。

 最近、上海市教育委員会がが学生の栄養状態をまとめた報告書を公表したけど、その中で小中学生の栄養のアンバランスが大きく取り上げられています。とくに、女子で低学年にその傾向が強く、揚げ物など高カロリーの食品を好み、野菜・果物を食べない傾向がはっきりと出ているようです。動物性たんぱく質の過剰摂取の一方で、穀物を食べず、毎日牛乳を飲んでいる子供もたった40%。さらに、週に数日朝食を食べない生徒・児童も8%いるそうです。

 私が小学生のときなど、給食に毎日牛乳がでていたのになあ、とか思いつつ、とくに上海の大人が栄養に関する知識を殆ど持っていないのには、非常に心配しています。
 臨床で、たくさんの上海人に接していますが、とにかく正しい知識を知らない。なのに、経済の発展で食材は増える一方。それでは、子供に教えることができません。

クリスマスのお菓子をつくる子供たち


 なにより、早く学校に栄養士をおいて、給食センターで作られるメニューに関しても、金銭的問題や美味しさよりも、栄養のバランスの取れた給食を作らなければなりません。上海市では、ここ3年以内に上海市全体の学校に栄養士を置けるように力を入れるようです。モデルエリアとして、浦東新区、楊浦区、長寧区が指定されました。

 そして、子供のうちから食べ物を大切にする習慣をぜひ学校でも教えてほしいと思います。数年前、私も上海の公立中学校で教鞭をとっていたことがありますが、とにかく給食を平気で捨ててしまう生徒たちの行為には胸が痛みました。

 しかし、上海の小中学校では、昼休みになるとみんな学校周辺の飲食店へ食事に行くというのもびっくりしたものです。給食があっても、それを強制的に食べる必要はなく、ほしい人だけがお金を払うシステムのようです。確かに合理的ですが。。。

 私が小中学校のころ、買い食いなども禁止だったのですが、そういう規則は上海にはないようです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2006年12月26日

テーブルに無造作に置かれたゴミ

 上海に十年以上生活すると、大抵のことは気にならないのだけども、今でも許せない行為がたくさんあります。

 それが、食堂で食事をしたとき、無造作にテーブルの上に捨てられるゴミや骨などのカス。衛生的にもよくないし、それを見ただけで、食欲が−100%になってしまう。すこし気をつけて、自分のお皿の端に骨を置いたらいいのに、それができない。だからペペとテーブルの上に吐き出し行くのです。

 実は、中華料理の本当のマナーでは、骨用のお皿を準備するのが普通で、中国人の上流階級(成金さんは除くことにしておきましょう)の人と食べに行くと、テーブルの上に吐き出すような人はまずいません。
 だから、こういった下品なテーブルマナーが中国人すべてだと思えば大間違いで、マネするようなものなら、今度は自分がとんだ恥をかくことになります。
 
 そういった点でよく言われる「郷に入ったら郷に従え」」というやり方は、ことに発展途上国で生活する上では、ぜったいにやってはならないと思っています。それこそ、日本人のデリカシーに欠ける様な行為なのです。私は、中国でも、日本人はあくまでも常識の範囲内で日本人でなければならないと思います。

どうして、ゴミを捨てられないのか?と嘆く前に、こういう場所から脱出


 食べるときにくちゃくちゃ音を立てる人もいますが、これも小さいころのしつけが十分に成されていないケースで多い。実際、上海人の友人たちの間でも、この音に非常に不快感を感じている人がたくさんいます。だけど、まず注意しない。注意しても仕方がないと思っているのです。自分の生活する階層とは違う人種なのだと。

 だから、上海という街は、ある意味では強烈な階級社会だと思います。それぞれの層で、考え方も行動もマナーもまったく違う。そして、これが中国の魅力かもしれないけど、俗に言われる下層の階級でも、十分に満足した生活を送ることができる。
 だけどそういった中で、自分がどの階級に帰属するのか、というのがその人にとって大きな影響力をもたらし、人の思考・行動パターンまでも見事に変えてしまいます。

 だから、「中国人は。。。だ」というグチはまかり間違っても言ってはならず、もしそのような環境に居たくないのならば、自分で自分にふさわしい環境へ変えてしまうしかないのです。

 どこに行っても対して大した変化のない日本とは、大きく違う点だと思います。

 人が多い分だけ、受動的では生きていけないということでしょうか。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類