「音楽には国境はない」なんて使い古された言葉は使いたくないけど、久石譲の指揮で、上海交響楽団の音楽が聴けるのもまた新鮮でした。そして、最後には観客とステージが妙な一体感を感じるようになり、カーテンコールでの久石譲の笑顔はすばらしかった。
上海大劇場で行われた今回のコンサートは、宮崎アニメのテーマ音楽が演奏されるということもあってか、結構お子さんも多かったです。しかも、席はほぼ満席。こういうジャンルの音楽で、しかも上海で、これだけびっしり席が詰まるのもすごいですね。
前半は宮崎アニメのテーマ音楽を中心に構成されていました。
「もののけ姫」で使われた組曲、日本的要素がぎっしりと詰まって、すばらしいと思いました。映画のシーンが目に浮かぶダイナミックな楽曲構成、聴衆を釘付けにさせてしまいます。
でも、久石譲の独創性は、私はむしろ休憩を挟んだ後半で楽しめました。
演奏されたアルバム「Asian X.T.C」から選ばれた楽曲には、彼のアジアへの想いが込められているといっても過言ではないのではないでしょうか。
上海で演奏されるにぴったりの音楽と思います。ピアノのソロを交えながら。。。
時には指揮台に立ち、時にはピアノの前に座る。そういった早業を観客の前で見せながら、ダイナミックにゆれる後姿に、私もいつか酔いしれてしまいました。
アンコールでは、「トトロ」のおなじみの旋律が突如登場し、会場は歓声とともに、熱い熱気に包まれました。
宮崎アニメを通じて、「トトロ」は「竜猫」としてそのキャラクターを中国人の間に強烈に植えつけています。正直、「トトロ」でこれほど盛り上がるとは私も思いませんでした。
中国のメディアでは、「音楽に非常に厳しい音楽家」というようなイメージが報道されていましたが、舞台での久石譲は、決してそうではなく、笑顔いっぱいで観客の声援にこたえてたのが印象的でした。
本当に、気持ちいいコンサートだったと思います。