2006年12月28日

緊迫する医師と患者の関係

 上海のFMラジオを聴くことがある人なら、きっとご存知でしょう。

 最近、CMの中で、企業協賛の公共広告があるのですが、そこで上海の某大病院の院長が出演して、市民に対して、医師の医療行為への理解と協力を求めています。
 こういったCMが流されている背景には、医師と患者との関係が年々複雑化していることがあるのです。

 深センの某民間病院の話ですが、医者も看護師もヘルメットをかぶって出勤しているといいます。ヘルメットは病院が支給したそうです。実は、この病院ではある患者を手術し、手術後の経過は順調で17日後に退院しました。ところが、退院手続き中に突然呼吸困難となり、患者がなくなってしまいました。
 患者の死因について、病院側が患者側に説明してものの、患者側は納得せず、さらに患者側は病院側の法医学による解剖を拒み、横断幕を掲げて暴力沙汰にまで発展しました。病院側では、裏にあやしい組織があるとして、公安とともに調査に乗り出していますが、このような医療をめぐるトラブルが、中国で頻発しているのです。

 もちろん、背景には国営企業の典型ともいえる中国の病院システムそのものに問題があるかもしれませんが、患者側もなんとかミスを見つけて、賠償金を稼いで退院してやろう、という魂胆がある人も少なくない。患者側からすれば、医師や病院がお金を稼いでいるように見えるのが腹立つというのもあるのでしょう。

 確かに、中国には人が多く、マーケットの魅力も大きいけど、リスクも同じように大きい、そういう典型的な事例だと思います。

黄浦江の船の上で生活する人たち
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類