2007年01月22日

また日本で無資格中医師が捕まった

 また無資格医療行為が日本でつかまりました。

 中医学をやっていて、一番いやなのは、こういった心無い人たちが中医学に対する風評を落とすことです。お金儲けができれば、何をやってもいいというわけではないのです。しかも、私の母校である「上海中医薬大学中医師」とか名乗っている。

 上海中医薬大学で勉強した経験のある日本人は星の数ほどいます。だけど、なぜかブランド名だけが一人歩きしています。1週間研修してもここで中医学を勉強したことには変わらないのですから、ハクをつけるにはもってこいなのです。

 実は、「上海中医薬大学中医師」と肩書きに書いたこの点からおかしいことが分かるのです。上海中医薬大学中医師など存在せず、中医師資格というのは、中国で全国共通で、中医学を専門に診察する医師のことなのです。

 しかも、中国ではこの中医師資格だけでは医療行為はできません。さらに、病院など医療機関に就職して登録しなければ、中医師資格をもっていても違法行為とみなされます。外国人医師の中国での医療行為はもっと複雑で、中国人よりもさらに短期間に衛生部門で登録更新もしなくてはなりません。また、中国の医師は、1箇所の医療機関しか登録できません。日本のように他の病院に出張外来に出たり、夜勤のバイトをすれば、違法行為となります。

医師資格を持っていると医療行為ができるとはまったく別の概念


 当然、中国の中医師という資格は、日本では使えません。あくまでも中国での資格なのです。
 さらに、中国の医師システムは日本と違って、キャリアを積んで上級の医師資格を取得していくものなのです。ロシアなどの医療システムを採用しています。一人前の医師として副主任医師以上の資格を取得しようと思えば、卒業後最低10年以上かかります。

 いま、中国の「中医師資格」とは別に、「国際中医師資格」とかもありますが、これを持っているからといって日本で医療行為ができるわけではないのです。あくまでもハクをつけるためのもの、学習するための目標とするためのものなのです。

 国によって制度が違います。
 例えば、多くの中国の中医薬大学の韓国人留学生は、自国でも中国のライセンスが認められると信じて、どっと中国へ留学に来ていますが、いまだに認められず。10年以上も前からそういうウワサを私も耳にしていましたが、私は絶対ありえないことだと思います。医療制度・資格ほど自国民の権益を大切にし、保守的なものはないのです。

 その結果、中国で資格を取得しても多くの韓国人留学生が卒業生が仕事探しに大変苦労しています。

 そもそも、医師過剰の中国で、普通に中医師として食べていくこと自体が、中国人でも大変なことなのです。これは私の上海人の彼女をみていれば、よく分かります。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類