2007年02月01日

自由市場の天井にぶら下がっている「腊肉」は不思議な光景

 最近、地方出身者が上海で増えてきて、それが上海の食文化に少なからず影響を与えています。その典型的な例が、「腊肉」ではないでしょうか。
 
 「腊肉」(ラーロウ)とは、いわば保存食。旧暦の12月、すなわち「腊月」に作るから、腊肉といいます。例えば、この時期に咲いている梅の花も、普通の梅と特別して「腊梅」(ラーメイ)といいます。日本語ではロウバイのことです。「腊」とは、先祖代々をお祭りすることをいい、古代「周」の時代からある習慣といわれています。そこからも中国人が春節を大事にすることが分かりますよね。


市場の天井付近を注目!


 地方から来ている人が増えることにより、自分の家で腊肉を作る人が増えました。もともとは、四川省や湖南省、広東省など山の多いエリアで作られるもので、上海ではあまりなじみのないものです。私が上海に来た10年ほど前には、あまり腊肉を作っている家庭は見られませんでした。それだけ、地方出身者が増えたということです。人口1700万人いる上海市の300万〜400万は出稼ぎで生計を立てている外来人口といわれていますから。

 しかし、浦東のある市場で見かけたような腊肉の「軍団」は、私も始めての体験です。これだけ並べられると私の印象は

「天井からミイラが並んでいる」

 感じです。



こちらは中華ソーセージがぶら下がっています。雲南や四川の自家製ソーセージ、うまいです


 そうなんですね。腊肉とはまさに「ミイラ」と同じようなものではないでしょうか?

 一般に、新鮮な肉・魚を買ってきて、一般的に料理に使うときにはここで水洗いするのですが、腊肉を作るときは洗いません。水気をしっかりと取って、表面に塩をかけます。そして、容器のなかに詰め込んで塩漬けにします。一般に、「重」しを置いたりして圧力をかけます。漬物の状態ですね。

 こうやって、15日間ほど置いておいて、取り出して軒下にぶら下げます。このとき、寒い風に晒しておくことが大切なのです。

 中国の田舎にいくと、軒下に肉や魚がぶら下がっていることがありますが、まさにそれなのです。

こちらは魚です


 冷蔵庫もない時代に、中国の昔の人の食べ物を保存するための知恵でしょう。

 肉を保存するには、腊肉は格好の食べ物で、例えば切り刻んでスープに入れたり、野菜と一緒に炒めたり、お粥と一緒に食べたりします。

 ある程度塩分が効いているので、ご飯が進むというものです。

 春節が近づくと、中国のいろいろな伝統的な習慣を目にすることができます。「腊肉」作りもそうなのでしょう。

 日本でもそうですが、新年をケジメとして大切にすることは、どこの国でも同じです。
 

鶏やダッグもぶら下がっています
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類