最近も、ある日本人コンサルタントから、日本である健康食品を売りたいので、その中身について教えてほしいという連絡があり、古くからの友人でもあるので、相談に乗ってあげることにしました。
いわゆる「癌に効く。。。」系のもので、その会社の人は中国で発表された論文資料を持ってきて、いろいろ私から話を聞きだしていました。1箱ウン万円するような代物だそうですが、中医学に携わっているものの一人として、売らないほうがいいですよ、と忠告してしまいました。そんなにすごいものだったら、とっくに中国の臨床でも使っていますよ、ということです。
几帳面にファイルされた論文資料を読んでみて、私は思わず中国の論文発表のカラクリについて、お話してしまいました。
私のように日ごろ物書きをしているものは、いつもアンテナを張り巡らせて、ネタを考える。そして、読者の皆様や雑誌社や新聞社に評価してもらって原稿料をもらう。それをちょっとした励みにまた次もがんばろうと思うのですが、中国の場合は必ずしもそうではない。
とくに学術系の雑誌となると、出版社に対して作者がお金を支払って掲載してもらうことが多いのです。
なぜ、そういうシステムになっているかというと、例えば医師の場合、上級医師に昇進するときに、論文の発表本数が大事で、規準を満たさなければ批准もされません。しかも、「国家クラスの有名な雑誌」というのは条件です。だから、雑誌に投稿することが、ハードルになっているので、そこで腐敗行為が生まれてくるのです。
つまり、有名な雑誌に載せてもらおうと思うと、まずは出版社にお金を積まなければならないのです。その結果、みんな内容に精を出さず、お金を出すことに神経を使っている。これもまた字数とも関係があって、字数が多いほど、さらに掲載される場所がいいほど、掲載される値段が高くなる。
雑誌社も儲かるものだから、雑誌の出版ペースを季刊から月刊に変えるなど、あの手この手で作戦を練っています。
中国にいて思うこと。
それは、中国はあくまでも商売の国であり、今の段階では学術や思想の探求にはどうも不向きであるということ。なんでもかんでも金銭とかかわりを持つことが、すばらしいという発想が中国人に根強いのは困ったものです。
2月12日、26歳の女性大富豪、呉英容疑者が捕まりました。総資産38億元(600億円)で、一時若い女性たちの間でヒーロー扱いでしたが、いまはもう過去の話です。たった半年間の夢でした。