2007年02月20日

改めて感じる、中国人にとっての春節の大切さ

 春節の1日目から2日目にかけて無錫の田舎に出かけて、その場所での文化の違いを感じて帰ってきました。ただ、その一方で、田舎では高齢化が進み、春節文化が以前よりも華やかでなくなっており、急速な現代化が中国の文化に大きな影響を与えている現状を感じました。

 しかし、中国人にとっては春節は非常に重要です。出稼ぎ労働者が家路を急ぐのも、そもそもこの春節があるからこそ、といっても過言ではないと思います。
 中国全国的には、相変わらず労働力が過剰気味で、まだ労働者の権利うんぬんといえるような状態ではなく、過酷な現場で、休みなしで働くのですが、そういった原動力ともなるのが、この春節だと私は認識しています。日本人にとってはなかなか理解が難しいかもしれませんが、単なる帰省ラッシュではないということは確かです。だから、中国政府中央も、貧困層から富裕層まで、みんなが安心して春節を迎えられるように十二分に気を遣っているのです。お金がないから故郷に帰られないとなるとそれこそ暴動がおこるでしょう。

 無錫のはるか郊外、もうすこし先に行くと張家港につくエリアにある港下鎮で過ごした春節。たまたま知り合いがいたというだけのことでしたが、この地区ならではの風習もあったりして、興味が尽きません。

 めでたいものがいろいろと春節で準備されるのですが、たとえば「発財樹(发财树)」などもそうです。この家では、さらに葉っぱにお札をぶら下げていました。広東・香港エリアでは、バキラが「発財樹(发财树)」と呼ばれていますが、どうもこのあたりでは違うみたい。正確にどういう植物なのかは、私にはちょっと分かりません。

 この「発財樹(发财树)」の根元には、餅をおきます。元宵を迎える旧暦の1月15日まで、餅は食べずに置いておくようです。

 さらに、縁起物としてサトウキビも。サトウキビは、節があってそれが成長と発展を意味するものといわれています。



 さらに、この地区では旧正月に食べる点心として、「焼餅」があります。各家庭で作るのですが、小麦粉の生地に、中には高菜の漬物が入っています。面白いのが、味が甘口で全然塩辛くないこと。無錫エリアは、中国でも有数の甘党エリアで有名ですが、こういったところにもその特徴が出ているのです。甘いものが多いというのは、この地区が昔から比較的豊かであったという証拠ともいえます。

 春節に欠かせないお酒。農家では、お米を使って自分で醸造しますが、作り方を聞いてみるとどうやら「どぶろく」に近そう。各家庭で各家庭の作り方があるようですが、この家庭では紅花を入れていました。紅花は中医学の生薬でも使う花で、血の巡りをよくする働きがあります。少し試飲してみましたが、アルコール度はさほど高くなく、非常に飲みやすいアルコールです。

 ところで、さらに発見したのですが、じつは中国の江南エリアにも五右衛門風呂がありました。ここの農家では、つい最近まで使っていたということで、その五右衛門風呂の場所を見せてもらったら、釜がまだありました。
 冬場などは、しっかりお湯につかって温もる習慣があったのです。ただ、昨今では農家といっても農地を持たない農家が多く、薪の供給が難しくなって、使っていないそうです。

 これは、江南エリアの人はお風呂に入らないと思い込んでいた私にはかなりショックな発見でした。お風呂に入らなくなったのは、単にそういう住環境でなくなったのが直接的な原因なのだと思います。


 中国がもっとも中国らしくなるのが正月。いくら科学技術が発達し、高層ビルが建ち並んでも、春節が消えうせることはないでしょう。

 来年もまたどこか違った場所で体験してみたいと思っています。農家の寒さにはかなり厳しいものがありますが。。。

サトウキビ 赤い紙を巻いていました
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類