ところで、最近になってかなり改善されたけど、上海人の間では蘇州河が臭くて汚いというのは、結構常識になっています。黄浦江も船で渡ると、独特のにおいがまだ残ってますが、ひところに比べればかなりマシです。
私が知っている上海の河といえば、スミのように真っ黒で、底から怪しい泡がポコポコと沸いていて、流れが死んでしまった、もう地獄絵にような惨状だったのですが、最近いろいろな上海人の話を総合すると、河が汚染されだしたのは、ほんのこの十数年のことらしい。
たとえば、70年代の後半に生まれた私の大学の時代の同級生などの話を総合すると、その当時閔行区ではホタルが普通に出たというのだから、かなり驚き。
上海といっても、その当時はほんの中心部分が発展していただけで、閔行区といえばいまでこそベッドタウンになってしまったけど、かなり農村だったのです。そこの住民たちは、市の中心部に行くことを、いまだに「上海に行く」といっています。それだけ中心部へ行くには距離があったのです。
とりあえず、ホタルがいるというだけでもかなりきれいな河が多かったわけだけど、それだけではどうもピンとこない。
じゃあ、その当時の閔行区の河はどの程度きれいだったのか?
もっと具体的に聞くと、少なくとも川底まで透き通っていて、底に生えている水草までがしっかりと見ることができたという。そして、エビや魚が泳いでいたらしい。
そこまできれいだったら、河で泳ぐことも可能でしょう。一昔の上海人がよく河で泳いだということは、十分理解できそうです。
その後、たった20年足らずの間に、河はすっかり汚染され、川底はおろか、悪臭で水面すら見る勇気を削がれてしまうような河が上海のあちこちにできてしまったというのは、恐ろしいことです。
もう一昔前の清流が復活することがありえないでしょう。それにしても汚染の速度が速すぎ。日本の高度成長時代もそうだったのでしょうか。