2007年02月24日

上海名物の「電車」がなくなるなんて

 上海名物がまた一つ姿を消すようです。

 中国語を勉強したとき、「電車」という言葉は、いわゆる鉄道の電車ではなく「トロリーバス」を指すということは、みなさんテキストなどでよく見かけたはず。上海でもまだたくさんトロリーバスが走っていますが、これが徐々に姿を消すことになりそうなのです。

 2月10日には、17番バスのトロリーバスが全廃され、すべてボルボの新型空調バスに置き換わってしまいました。上海の場合、バスが長らく人々の大切な足を担っていたので、歴史の古いバスが多いのが特徴。しかもトロリーバスとなると、その昔、「ちんちん電車」が走っていたところをそのまま走っていることが多いので、まさに歴史を伝える証人なのです。

 今回、トロリーバスが廃止された17番のバスは、元はフランス系の会社が1926年に作った路線で、ローカルなエリアを走る上海で最も長いトロリーバスでした。現在も盧湾大橋から通北路を結ぶ13キロの路線として活躍しています。

こんな風景もいつかは見られなくなるかも


 トロリーバスの魅力は、なんといっても静か。加速も独特で、なれない人なら「車酔い」してしまうかもしれません。自転車で上海の街を走っていても、トロリーバスの後ろなら排気ガスの洗礼を受けなくてもいいといいので嬉しい限りです。
  
 ただ、狭い上海の街では、集電装置が邪魔になってトロリーバスがよくトラブルを起こしているのも確かです。路上駐車などがあれば、それこそ大変です。よく、運転手が架線から外れた集電装置を長いワイヤで右に左に調節している姿を見ますが、これが雨の日だったらもっと大変な作業です。

 最近では、急速充電型のトロリーバスが11番に導入されています。これは、バス停の停車中に急速充電し、あとは架線がなくても走ることができるという代物ですが、まだ大規模に普及していません。

 現在、上海では2万台近いバスが走っているようですが、そのうちトロリーバスは400台を割っており年々少なくなってきているのが現状です。速度が遅いとか、設備がぼろいとかの理由で、廃車のスピードが上がっているようですが、環境保護の立場から言えば、もっと重視されないといけないはず。日本などでは路面電車などが復活してきているわけですから。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類