松之山温泉は奥深い山の中。今年は雪が少ないといわれながらも、このあたりではしっかりと雪が残っていました。今日宿泊したのは、昭和のよき味を残している凌雲閣。この地区の文化財にもなっていて、かなりお勧めの宿です。昔の姿で忠実に残されていて、中国の旅館もぜひ見習ってほしいと思いました。古いものは本当にすばらしいのです。
ここの温泉は日本でも珍しい「含ホウ酸塩化土類食塩泉」という泉質、温度は98℃。あまりにも熱いので、水で薄めて使っているようです。
私もこのタイプの温泉を経験するのは初めてです。飲んでみると、ちょっぴり塩辛く、色もわずかに黄緑色をしています。最大の特徴は、そのニオイではないでしょうか。石炭というか、重油というかそういう水の香りがします。このように塩分が高いのは、1200万年前の海水が地中に閉じ込められて噴出したためだとか。1200万年前の海水に浸かっている自分に、すこし古代のロマンを感じてしまいました。もちろん、「日本秘湯を守る会」の会員旅館です。温泉の効能は、浴用でリウマチ・神経炎・創傷・痛風・皮膚病・婦人病、飲用で胃腸病、貧血症、腺病質に効果があるとあります。痛風の治療は、生薬治療でも難しく、こうやって温泉で治療できるのならそんなすばらしいことはありません。
食事もボリュームがすごく、正直びっくりしました。でも高齢者は食べきれないでしょうね。もう少し量を減らし、健康的な料理も必要だと思います。
ところで、こんな山深い秘湯には、中国人に会うことはないだろうと思っていたけど、ここでも中国人に巡り合ってびっくり。日本の温泉文化も、中国ではかなり有名で、いまちょっとしたブームになりつつあります。日本で温泉を楽しもうという中国人はこれから増えることでしょうが、温泉文化の認識の違いから摩擦が生じないか、正直私は心配しています。
日本政府の政治家の皆さん、観光立国日本をPRするのはよいのですが、文化の伝達を決しておろそかにしてはなりません。