大雪だった山形をぬけて、新潟へ出ましたが、新潟はそれほどの雪でもなく、車も比較的スムーズに移動できました。途中、雪景色の山並みが非常に美しく、何度も停車してカメラに収めました。
話によると、「嵐渓荘」の旧館の方ではムササビが住み着いているそうで、夜になると活動しだし、ゴソゴソと音がするそうです。残念ながら、私の滞在中にはムササビにあうことはありませんでしたが、その通り道となってる穴は見つけることができました。ちょっといくとカモシカの生息地があるなど、越後地方の山深い秘境の中に、この温泉はあります。
越後長野温泉の特徴は、ナトリウム塩化物泉で、源泉湧出時の温度は15℃。分類的には「冷鉱泉」に属します。加熱しないと温泉として浸かることは難しいですが、逆に加水しなくてもよいので、濃度の濃い温泉を楽しむことができます。効能としては、慢性神経痛、リウマチ、貧血、やけど、創傷、慢性子宮周囲炎などの婦人病、飲用としては、胃腸病や糖尿病、痛風、などにも効果があるようです。
味は、すこし塩味が利いていて、比較的おいしい部類に入ると思います。色は、少し白濁しているように思いましたが、ほぼ無色透明。朝食では、この塩味の聞いた源泉を利用して、おかゆを作って出してくださいました。これがなかなかおいしい。
この嵐渓荘では、今回の旅行で初めて露天風呂に入ることができました。「山の湯」と呼ばれる、渓流傍の露天風呂は、雪を見ながらお酒を飲める演出(1500円)もあり、ぜひ楽しんでみたいもの。また、夜間は30分単位で貸切の予約ができるため、カップルで一緒にお風呂を楽しむこともできます。
露天風呂から出てくると、これまた山小屋風の休憩所があり、音楽を聴きながら、ゆっくりと談笑すること空間もありました。非常にしゃれたつくりになっていると思います。
そういった意味でも、この嵐渓荘はいたるところに工夫が見られた温泉宿で、旅人たちを飽きさせることはないと思います。
もちろん、よるゴソゴソするといわれるムササビが苦手だったり、部屋にトイレ・バスがほしいという人には、コンクリートで建てられた新館もあります。
ただ、個人的には旧料亭の「緑風館」がすばらしいと思います。もちろん、木造で、ギシギシ音がしますが、昭和の香りがプンプンして、心安らぐ空間が演出されています。
総じて、今回の旅行の中で、どんな温泉フアンにも受け入れられるだろうと思われる非常にバランスのよい宿が、ここ嵐渓荘かと思います。私が訪問したときは、雪のなかにまだ埋もれていましたが、緑豊かな自然が豊かに残されており、嵐渓荘の玄関へつながる釣り橋をわたる小道には、春にはきっとまばゆい新緑が芽吹いてくることでしょう。
三条市から30分程度と、新幹線を使えば東京からのアクセスもなかなか便利なところにあるのも魅力かと思います。