10年以上前、まだ日本にいたころに建設現場でアルバイトをしていた時期がありました。アルバイトの内容は、現場の最終仕上げのための清掃、いわゆる「美装」といわれるものです。
その当時、いろいろな現場監督さんや建設業の社長さんなどと知り合いになったりしましたが、その多くの方が、今では引退なさっています。しかし、驚いたのは病気やケガで仕事ができなくなったという方が非常に多いという点です。
よく知っていた建築士さんで、現場監督もなさっていた方は、60歳前後で認知症とわかり、今ではもう仕事をすることができなくなったということも聞きました。また、現場の足場から落ちて、脳に障害が出てしまったという知り合いの現場監督さんもいました。
大阪では、中小の建築業者がたくさんありますが、競争の激化でパイの取り合いをしている状況はあまり改善されず、無理をしている業者も相変わらずあります。一時期ほどではないにせよ、ペンキ屋さんなど大きなお金が動く業種では、お金がちゃんと回収できるかが大きな問題です。中国のように、先払いシステムではなく、信用で仕事を請け負っているケースが日本では多いからです。中国のビジネスでの人間不信感は、ある意味ではリスクをできる限り避けるための人々の知恵なのです。
この10年の間、その当時知り合った人たちがいまではどんどん一線を退き、亡くなられた方も少なくありません。私もそれだけ年齢を積んだわけですが、なんとなくはかなく感じる今日この頃です。