2007年03月27日

仕事を始めてたった1ヶ月の新米タクシー運転手

 妻の実家で食事をしたあと、雨が降っているので自宅までタクシーで帰ろうと、この日乗ったタクシーが、仕事を始めてたった1ヶ月の新米タクシー運転手でした。5星タクシーを上海で乗るのは難しいけど、新米ドライバーに乗るのもこれまた難しい。

 どの程度の新米か、いろいろ話を聞くと「浦東空港に行くのも道路が分からない」と乗客を拒否したほどです。乗客に「乗車拒否だ!」と会社に告発されたものの、長距離の乗客に対しての乗車拒否だったので、会社側もかなり不可解だったそうです。(上海の場合、短距離では結構乗車拒否がありますからね。)

 浦東国際空港という、上海の普通のタクシーなら喜んでいくところなのに、それすら行けなかったぐらいだから、なんと1ヶ月目の営業成績は500元の赤字で、自分で補填したそうです。おいおいこれからタクシー稼業で大丈夫なのか?と心底心配してあげました。

 新米タクシードライバーといっても、そこそこ運転経験がないと上海ではタクシードライバーになれないので、免許取立てというわけではありませんから技術的には大丈夫。しかし、道が詳しくない。

 普通なら、それで車を降りるところですが、私は上海の地理には比較的明るいので、「道を教えるから、とにかく行け!」とナビゲートつきの乗客となったわけです。

 私も上海にきて、丸くなりました。以前なら、タクシー運転手が道を知らないといえば、怒ったことも数々ありましたが、最近では、「道を知らないのなら、道を教えよう」と発想転換することにしました。それのほうがストレスがたまらないしね。

 この運転手、30歳前後でしょうか。道が分かりやすい閔行エリアをテリトリーとしているそうで、浦東は「怖くて、いけない」といっていました。でも、それは「愚かな選択」。浦東では、11元の初乗りはあっという間に消化されてしまうし、何より道路が広くて渋滞が少ない。そういったことも、彼にアドバイスしてあげました。実際、浦東に住んでいると、浦西に行きたがらない運転手は非常に多い。

 ところで、この運転手の生まれは中国西北エリアの蘭州生まれ。そう、あの蘭州ラーメンの蘭州です。親が上海人で、文革のゴタゴタ時代に蘭州に移住し、そこで育ったとか。だから、上海人なのに、上海語が喋られない。でも、はるか遠い蘭州の話をいろいろ聞けました。とくに、蘭州ラーメンが好きな私にとっては、もうラーメンネタは欠かせない。

 彼曰く、上海の蘭州ラーメンは、本場のものと似ても似つかないそうです。まず、スープからして違う。本場のラーメンは、とにかく牛肉のスープが基本。上海みたいにカレーを入れてみたり、スパイスを効かせてみたり、そいうのは邪道だそうです。麺もひたすら延ばして、髪の毛ぐらいの細さになるらしい。そういえば、そういうラーメンは上海で食べたことないなあ。

 そんなよもやま話をしながら、浦東に無事到着。

 「だれか、浦西にまで行ってくれる客がいないかなあ」

 という運転手に、我々のあとにやってきたの乗客は、なんと欧米人。

 さあ、大変だぞ!

 「がんばれ!」

 と励ましてあげて、家路についたのでした。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類