日本でも最近、患者が医療サービスを受けたときに、「支払えない」、「支払わない」患者が増えていて、一部では病院経営に影響を与えているというニュースを見ますが、貧富の差の大きい中国では、昔から発生している問題で、医療サービスについては、先払いが原則です。
診察を受ける際、まず診療費の会計を済ませてから、医者のところへ行きますし、血液検査であれ、検査をする際は、まず費用を支払ってから、検査を行います。
病院と患者との関係で言えば、この場合は明らかに病院の方が優先に考えられています。そのため、緊急時に命が救えなかったというケースが、どうしても発生してしまうのです。病院側も、患者の莫大な医療費が支払えないのなら、治療を拒むということになるのでしょう。
これではだめだ、ということで中国の厚生労働省にあたる衛生部が最近、「緊急時には、まず患者を救ってから、費用を請求しなさい」という原則を打ち出しました。
病院救急患者が医療費を支払わない現状は、中国でも深刻化しています。だからといって病院が患者を拒む理由にしてはならないとし、各政府も病院に対しても突発的医療事件に対しての病院への補助も怠ってはならないとしています。
衛生部では、今年を「病人のための病院」という意識改革を行うことを強く提唱しています。医者と患者の関係改善も、重要な課題でしょう。患者に殴られるような医師をとにかく減らさなくてはなりません。「お金より、診察がまず先」というやり方は、そういった患者への信頼回復につながるのには間違いありません。
しかし、病院側からすれば、いかにして今でも中国で多発している未払い医療費の問題を未然に防ぐことができるかが、大きな問題となる可能性もあります。
人類同じ命でも、公平に医療が行えない。格差がある社会の結末なのかもしれません。
政府の無政策から格差社会を迎えつつある日本も、中国の格差現状を知っておく必要があると思います。明日は我が身かもしれません。
2007年03月31日
診察料が先か、診察が先か
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類