2007年05月09日

病院経営は日本も中国も大変

 今日、妻は当直。1晩で2.5元しかない当直手当にブツブツ文句も言いながらも、仕事だから仕方がないと家を出て行きました。
 上海の空調バスに1回乗るだけで消えてしまうような当直手当じゃあ、どう考えても安すぎますが、それが公共の福祉を最優先にする「はず」の社会主義の常。

 私はというと、次に発表する論文のために、朝4時から参考資料にうずもれています。ああ、日本向けの雑誌に掲載する原稿の締め切りも近付いてきて、いよいよ頭を抱えることになりそうです。

 ところで、日本でも健康保険の制度が変わって、今後薬を処方すればするほど病院側の利益が減るようになるという話を聞きました。もちろん、自費診療しか受け付けないクリニックだったらそう問題ではないでしょうが、保険で診察しているクリニックは大変です。

 特に、漢方や中医学をやっている医師は、薬の処方が腕の見せ所でもあるので、保険の制限が厳しくなるとますます処方しにくくなります。
 これで、日本ではしっかり処方のできる医師しか、生薬を処方しないようになるかと思いますが、漢方や中医学の生薬治療の普及を目指すわれわれにとっては痛い話です。
 本当は生薬こそが、医療費削減の救世主になるはずなのですが。

 上海でも同様で、上海市の健康保険を使って患者一人あたりに処方できる薬の限度が厳しく制限されています。
 つまり、病院の規模に応じて、保険のお役所から病院に出される補助が決まっていて、その限度額を超えた場合は、病院が自分で負担しなければなりません。患者に保険を使って大量に医薬品を処方すると、その分配られた定額の補助から支払われるわけなので、その補助がなくなれば病院自身による負担ということになります。 つまり医師の給与を削るというわけなのです。

  公的医療保険の台所は中国でも日本でもどこでも大変で、急速な高齢化社会を迎えている上海でも同じです。

 さらに、今年に入って、上海の医療機関の広告が厳しくなりました。これまで、あまりにも広告規制が緩かったのが問題だったのですが、医師の顔写真などを広告に掲載してはだめになったようです。また、各クリニックは自分の持ち点があって、違反などがあると減点されていき、0点になると資格が取り上げられ、開業すらできなくなります。

 民間病院を中心に、患者から不当な医療収入を得ていたことが明るみになり、一時大きな問題となったことも影響しているのでしょう。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類