2007年05月18日

中国は労働力が過剰ではなく、むしろ足りないのでは?

 今日、うちのアイさん(家政婦さん)が来ました。妻は病院の当直なので、家におらず、アイさんに頼む用事を箇条書きにして家に置いておきました。私は、今日は自宅で原稿書きなので、アイさんが来るのを待ちました。

 定刻どおりにアイさんがやってきて、メモ書きを見せると

「すみません、メモ書きが読めません」

という返事が返ってきました。そうなんです。彼女は字が読めなかったのです。

 日本では字が読めない人はあまりいませんが、中国ではけっこう遭遇します。病院の外来でも、文字が書けずに困っている患者さんを何度も助けてあげたことがあります。

 中国人なのに中国語が書けないという人は、地方を中心に中国全国でまだまだいるのです。

 字の次に困るのが、普通語をしゃべられない人。

 先日も、ある疾患の電話追跡調査をおこなったとき、河南省や湖北省など中国各地に電話したのですが、やっぱり言葉が通じない。私の普通語が原因なのではなく、普通語が全くできない人はまだまだ多く、上海のようにスムーズに普通語が通じるのは、都市部だけの特典とでもいえるでしょう。

 中国には12億人の国民がいて、労働力が豊富にあるように言われていますが、私が思うに実はそうではないと思います。

 もちろん、単純作業ができる労働力はたくさんあるかもしれませんが、こうやって中国人であるのに、普通語が喋られなかったり、漢字が書けない人がいる。つまり、我々が日本で求めるような優秀な労働力はむしろ不足しているのではないかと思うのです。

 さらに、中国の場合、単純作業やあまり複雑でない仕事をしてお金儲けをしようとする人が多いから、そういう方面での競争も激しくなる。一方で、複雑な仕事をしてもらおうと思っても、とてもできるような状態ではない。いいものを作るにもまだレベルが足りない。もちろん、10年前と比べたらものすごい進歩をしていますが、それは中国という範囲で見た場合の成果です。

 文字が書けないというのは極端な例かもしれません。
 ただ、中国で生活してつくづく思うこと、それは日本人がいままさにがんばらないといけないのは、人材の育成ではないでしょうか。もちろん、自国の日本人の育成です。

 教育に関してもそうです。安部首相は教育改革に力を入れ、ゆとり教育からの転換を図るようですが、こうやって鍛え上げられてきた日本の労働力は確かにすばらしい。中国でもそれなりの対価を払うことは理解できます。

 日本も常に危機感をもって頑張れば、中国には決して負けないと信じています。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類