2007年07月17日

ちょっとあたたかいお話

 このブログでも、ちょくちょく登場する我が家のアイさん(家政婦さん)。

 安徽省出身なのですが、旦那さんが肺がんにかかり、いま闘病中ということを先日書きました。私たちは手術には反対だったのですが、ご本人の希望により、手術し、いま上海の自宅で療養しています。

 男の働き手を失ったアイさん一家ですが、いまアイさんが中心となって、さらに親戚一同が助けながら、旦那さんを支えているようです。我が家での仕事も、これまでの週2回から、週4回に増やしてあげました。すこしでも治療費に充ててもらえたらと思っています。

 そんな自宅療養中の旦那さんは、最近ふとしたことから浦東新区の金橋にある教会に通うようになったそうです。もともと、すこしでも信じるものがあれば、精神的に楽になるかもしれない、という発想だったようです。

 中国には、キリスト教を信じる住民が多数いて、お互い困ったときは助けてあっているという話は、昔から聞いておりました。上海では、お寺より教会の方が数が多いぐらいなのです。

 アイさんの旦那さんもそうで、事情を聞いた教会の信者の皆さんが、みんなで募金しあって、アイさん一家を経済的に援助してあげるようになったそうです。

 今では、夫婦そろって教会に行くようになったといいます。そして、大学生の息子に、教会仲間から上海でのアルバイトを斡旋してもらったり、今では非常に助けられているという話を聞きました。

 社会福祉などの整備が遅れている中国では、こうした人々の草の根の助け合いの話をよく聞きますが、純粋に支援活動をしている組織は少なくありません。

 バブルで散財に明け暮れている人がいる一方で、社会的に地道な活動をしている人がいることを知ると、ほっとした気分になります。

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2007年07月16日

大学の中で就職率ワースト10に入った中医学系学科

 上海市教育委員会が2003年度〜2006年度までのデータで、上海市の大学の就職率の悪い学部・学科について、公表しました。

 この中で、私が専攻していた中医学がワースト10に入っていて、すこしびっくりしました。
 まあ、昨今の医者あまり現象から、理解には苦しませんが、だったらもっと早いうちに入学定員を減らしたらよかったのにと思いました。ここ数年、我が母校の定員は増える一方でしたから。
 そのほか、ワースト23に基礎医学、ワースト24に歯科系、ワースト37に臨床医学と医学技術、といずれも医学系が入っていました。医学系は専門性が強い割に、汎用性が非常に低いという欠点があるからでしょうか。

  ちなみに、ワースト1は水産系。これは、上海近辺でも水産業が盛んでないから検討がつくのですが、その次に材料科学が入っていました。これもちょっと意外。体育系がワースト4位、獣医などを育てる獣医学系もワースト8位でした。かなり意外だったのが、法学類がワースト32に入っていました。

 改めて思うのは、文化を支える学問に人気がなく、中国では社会的にも求められていないのだなあ、ということを感じました。たとえば、哲学や歴史、数学・天文学・生物科学などはそうでしょう。心理学も就職率が低い学科に挙げられています。

 さらに、そういった背景から基礎よりも実益を重んじる現在の中国の社会構造を感じます。

 中医学も、いわば中国の文化を伝える大切な学問ですが、実用面から言ってももっと就職率が上がってもおかしくないと思います。

 しかし、昨今の中国の事情から、中国の一般大衆が中医学より西洋医学を求めているのは、臨床に出てみると痛いほどよく分かります。

 現場の多くの中医師も、西洋医師の役割を果たすことで生計を立てている場合が多いのです。

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

2007年07月15日

地震の恐ろしさを改めて痛感

 7月16日に新潟県・長野県で発生した大地震は、私もNHKのテレビの中継で知りました。その被害の甚大さに胸が痛む思いです。とくに、今年の春は新潟県の温泉を巡ったので、そのときの風景が目に浮かびます。

 異国にいる私たちにとって、こういった非常事態が一番怖いのです。2003年に経験したSARSの時もそうでした。巷には様々なウワサがながれ、とても生きた心地がしなかったことを思い出しました。

 1996年に上海で地震を経験したときも、日本にいるとき以上にびっくりしたことを覚えています。その当時、大学のボロ寮で生活していたので、生きた心地がしませんでした。

 中国では、我々の想像を絶するような自然災害が毎日のように発生してます。あまり上海のテレビでは大きく報道されていませんが、淮河の大洪水で、安徽省や江蘇省が大変なことになっているのです。
 日本だったら十分に番組変更して中継となるような大災害でも、国土の広い中国ですから、よっぽどのことがないかぎり特番がくまれることがありません。

 前回、上海で体験した地震でも、十分に揺れましたが、幸い大きな被害はありませんでした。しかし、ここから分かるように、上海で地震がないというわけではありません。

 とくに、いま新潟県や長野県で問題となっているライフラインに関しては、上海は甚大な損傷を受けることになるでしょう。地震が発生していなくても、道路の水道管の老朽化による破裂は日常茶飯事的に発生していますし、狭い道路網と密集した家屋、老朽化した建物、なにをとってもリスクとなるものばかりです。

 1700万人いる都市がどのようになるのか?考えるだけでも恐ろしくなります。特に、浦西の人口密集地はとんでもないことになるでしょう。

 SARSの時、上海の日系企業の間でもリスク管理について取り組むところが多くありました。あれから数年たち、ここしばらくは平穏な日々が続いています。しかし、上海にいる我々こそ、いざというときの準備をしておく必要があるのだと思います。 

 私も改めて、自宅に置いてある非常食や水のチェックをしておこうと思っています。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類