地下鉄3号線、4号線が開通したおかげで、広州市中心部から番禺区に出るのが非常に便利になりました。広州中医薬大学や中山大学がある広州大学城も建設されました。新広州駅も建設されます。なにより、2010年に行われるアジア大会では、番禺区がメイン会場となり、非常に大きな変化を遂げることになるでしょう。
今回は広州在住の方には混雑で嫌われている地下鉄3号線を使って、番禺区へ南下しました。終点の番禺広場には、近代的なビルが建ち並んでおり、非常に整然とした印象をうけました。
今回、番禺区を訪れた理由は2つ。1つは「留耕堂」と呼ばれる、番禺区沙湾の祠堂を見たかったのと、貝殻で作られた家があるという大嶺という村を見に行くためです。
祠堂については、江西省を旅したときも、度々目にしました。先祖代々をお祀りするお堂のことで、中国の多くの村落には今でも残っています。ただ、長江デルタエリアの祠堂は、文革時代にその多くが破壊され、今まで残っていませんが、広東省エリアでは大規模な祠堂がまだあちこちに残っています。
たとえば、広州市内で代表的な祠堂といえば、陳氏一族をお祀りした陳氏祠がありますが、こちらは今では広州観光では必ず訪れる観光地になっています。
時代の変遷とともに、祠堂の意味合いは先祖を祭る以外に、公民館や集会所てきな場所として利用されるようになります。この日も、「留耕堂」にいくと老人たちが会話を楽しんでいました。
祠堂の保存状況からも分かるように、広東省では非常に先祖を大切にしていることが分かります。「留耕堂」は、名字が「何」一族が祭られていて、立派な家系図もありました。
こうやって、広東省の郊外の農村を歩いてみると、またいつもいる上海エリアの農村との違いがくっきりと分かります。
まず、外壁をタイルなどをつかって装飾している農家が多い点からも、比較的経済的に豊かであり、ゴミが比較的少ない点は特筆できます。中国の農村と言えば、ゴミの山的なイメージがあったのですが、少なくとも広東省では、そうではありません。
もちろん、麻薬など犯罪組織が影響力を持っている村落もあるようですが、全体的にはいいイメージを持ちました。ただ、前回にも書きましたが、野良犬の多さには閉口です。
吠えない犬はとくに怖くはないのですが、遠くから吠えられた場合は、無理せずに離れましょう。
大嶺でみた、貝殻の家はこれも非常に興味深い。
今ではなかなかお目にかかることのない、立派な大きさの蠣の貝殻で壁が組まれていて、それで比較的強固な作りになっています。もちろん、地震などがくればもろいでしょうが、昔の人が考えた発想にちょっと驚きました。
海に近い広東省だけに、海とともに育まれてきた農民たちの生活を垣間見ることができました。