2007年09月04日

信州安曇野中房温泉

日本の温泉フアンの間では、外すことのできない温泉地の一つである中房温泉に行ってまりました。私の念願の温泉地でもありました。

 なんせ、携帯電話の信号すら立たない山奥で、日本で初めて衛星公衆電話が使用されたとのことです。といっても、JR大糸線の穂高駅から車で40分程度の距離で、決してめちゃくちゃ遠いというわけではありません。

 中房温泉は、江戸時代文政年間からあり、今でも豊富な湯量と高い温度は健在です。多数ある源泉では、90℃以上のところもあり、日本人の温泉文化の原点を今も残しています。
 もちろん「日本秘湯を守る会」、「源泉湯宿を守る会」の会員で、経営者の百瀬さんとは日本温泉学会でも顔なじみです。
 百瀬さんは9代目。先代もまだ90歳というご高齢でありながら、いまでもしっかりと温泉宿を守っておられます。さらに、大女将も80代で現役バリバリで、温泉の長寿にもたらす効能を証明しています。温泉を愛し、継承していくということに対して、あつあつの源泉に負けない情熱で取り組んでおられることをつよく実感しました。

 

ここの温泉は、江戸時代にそもそも明礬の採取で開かれました。明礬といえば、今でも漢方薬や日本料理で使いますが、この地方では昔製糸業で使われ、広く流通したとのことです。そして、温泉地として発展し、テニスコートやプールももつ当時としてはかなりモダンな温泉宿だったようです。

 昔は皮膚病や性病の治療にも使われたようですが、不妊症や婦人病に効果があり、車のなかった当時は、麓から3時間も歩いてこの湯治場にやってきたそうです。ゆっくりと1週間は逗留し、子供を授かったというエピソードが数々あると先代から伺いました。

 中医学的にも、温泉でぬくめるという行為は、不妊症に非常に有効で、伝統医学の観点からも非常に理にかなっています。そのほか、病後の健康回復や、リウマチなど西洋医学では介入しにくい疾患に対して、一昔前の日本では積極的に湯治が活用されていました。

 お湯の成分は大きく分けて2種類あり、硫黄の香りがする単純硫黄温泉、それとアルカリ性単純温泉です。浴槽の数は私がいっただけでも16種類あり、一部は男女混浴。
 さすがに、若い女性には出会いませんでしたが、日本の古き良き伝統を今も残しています。



源泉です


 忘れてはならないのは、中房温泉は、いわば究極のSPAであり、その原点がありのままの姿で存在しています。
 たとえば、温泉の蒸気をそのままスチームとしてつかったむし風呂は江戸時代から続くもの。今はあまり人は見ませんでしたが、その当時はかなり人気だったようです。実際私も入ってみて、その気持ちよさを実感しました。 5分ほど辛抱して、沢の水で汗を流す。

 まさに、自然の恵みを100%体感できるわけです。

 

むし風呂。本当にむしぶろ状態だった。


  さらに、温泉地の裏には、焼山があり、ここでは水蒸気のあがる地面にゴザを敷いて、岩盤浴を楽しむことができます。今のSPAでは当たり前かもしれませんが、それがすべて天然の地球の恵みから体験できるのです。

 ちなみに、焼山では穴をほって卵をいれると、見事ゆで卵ができてしまいました。これがまた美味!夕食では信州牛を地熱で4時間かけて蒸したローストビーフをいただきましたが、これまた焼け具合が最高で、おいしかったです。

大地の鼓動を感じるようでした
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類