いま、貴州省銅仁からさらに150キロ、ぐねぐねの山道を走って到着した貴州省石阡県の旅館にいます。この150キロ、山道で4時間ぶっ通しで走ったため、まだ頭がクラクラしています。こんなところに人がいるのか?というような道でした。周りは木造の民家が散在していて、村が非常に美しいです。まずしいけど、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
なぜ、こんな山の中にきたのか?それは、ここに秘湯があるという情報を得たからです。中国人が日常的に温泉に入っている!こんな街が中国にもあると聞くと、見に行かない訳にはいきません。上海から26時間以上かかりましたが、温泉研究家の私にとっては非常に価値あることなのです。
ここには、村人たちが入る無料の公共浴場もあります。私も行きました。
はっきりいって不潔です。だけど、地元の人たちがすごく楽しそうに入っている。もちろん、水着なしです。そんな場所が、中国にもあったんだと思うと、感動しました。つまり、中国にも温泉文化なるものがあったのです。
詳しいことは、来年の日本温泉学会で発表する予定です。
ところで、この公共浴場。もちろん源泉掛け流しです。なんていったって、湯船の下からお湯がわき出しているのです。脱衣場はなく、浴槽の周りのベンチで服を脱いで、みんな掛かり湯もせず「どぼん」。
上から見ていると、お湯が真っ白なので、白骨温泉のような白色湯かと思いきや、じつはみんなシャンプーや石けんで体を「浴槽の中」で洗うので、そうなってしまったそうです。なんとたくましいルール!
以前は、監視人もいて、きれいに使っていたそうですが、いまはいなくなり、やりたい放題となってしまいました。
中には、浴槽の底の源泉に、自ら持ってきたホースをつっこんで、頭からお湯をかぶっている人もいました。たくましい!
でも、人々の日常生活にある温泉として、いまでも愛されています。このことには非常に感動しました。もちろん、私も足湯をして、地元のおじさんたちと語り合いました。
裸の交流っていうのは、いいものです。
この近くには、数カ所の温泉施設があり、消費レベルにあわせて温泉を楽しめます。
私は、夜に個室の温泉を楽しみました。源泉は、公共浴場と同じもので45℃です。加水も加熱もしなくても、直接楽しめる温泉です。浴槽には、上から使い捨てのビニールシートをひいてくれるので、清潔なのがよかったです。
ここでは水はもちろん透明でした。しかも、地元の人は飲泉をしていると聞きました。それほど効果があるものなのです。
明日以降、まだまわりきれていない2カ所の温泉を楽しもうと思っています。
貴州は料理もなかなか。私の大好物のゼンマイの根っこを使った蕨粉はついに本物を食べることができました。さらに本番の酸湯魚も食べられました。これはスープに柚子の葉っぱを入れて、独特の柑橘類の風味があります。源流すぐそばなので水のすごいきれいな川でとれたナマズが中に入っています。ボリュームが多すぎて、食べきれなかった。。。
ビーフン系の「粉」も非常に種類が多く、銅仁の知り合いの家でごちそうになった粉は、自家製の緑豆と米の粉を原料に作ったもの。しかも、スープは地鶏を使っていて、刻み生姜とネギ、酢、醤油、自家製辣椒で食べます。おいしかった!
まだまだ書き足りないことがたくさんありますが、おりおりご紹介します。
実は、ものすごい秘湯を見つけていて、そこに行こうといまからワクワクしています。
とりあえず、明日は天気が問題なければ標高2500メートルほどの山の山小屋を目指します。