文旦は中国語で柚子と書きますが、もちろん、日本語の柚子とはまったく違います。また、中国の文旦も日本の品種とは若干違うので、味も異なります。
上海で食べ文旦は、水分がほとんどなく、カスカスの柑橘類を食べているようでしたが、貴州省の文旦は水分があり、さらに非常に酸っぱい。それでも地元の人は好んで食べています。
私は酸っぱい物が好きなので、貴州の文旦を美味しくいただけましたが、これは好みが影響するでしょう。
それでは、上海ではなかなか食べられないもぎたての文旦をいただこうと思い、農家の人にお願いしたら、気持ちよく庭先の文旦の木から文旦を分けてくださいました。
木に登って採るのだろうと思いきや、いきなり竹の棒を持ち出してきて、木の上の方の文旦を揺するや否や、ドタドタと4つぐらい文旦が落ちてきました。「せっかくだから、全部もって帰り」と言われ、その場で2つ食べて残り2つは上海へのおみやげにしました。
たしかに露地栽培で、しかも農薬も全く使っていないもぎたての文旦は美味しい。上海地区では、この文旦の皮を蜂蜜などに浸して文旦シロップを作ります。これは、子供の咳などに効果があるとされています。ただ、上海では農薬が怖くてそういうことができませんでした。
そこで、貴州の人に、文旦の皮はどうしているの?と聞いても、
「そんなもの使わない」
とつれない返事でした。
しかし、改めて農家の木を見上げると、大きな文旦がたわわにぶら下がっています。
こんなにもできるのだと正直びっくりしました。
文旦をいただいた村の前には、それはそれは美しい清流が流れていました。川の底までくっきりと透き通っています。
いったい我々が日頃上海で食べている農作物が何だったのか、非常に考えさせられます。どう考えても味が違うのです。
農村での発見はまだまだ続きます。