2007年11月13日

中国の遷都論

 最近、時々耳にするのが、中国がそろそろ遷都を検討すべきではないか?という論評です。広州の新聞、『羊城晩報』にも最近出ていましたし、研究者などがいろいろ発言をしています。

 その理由として、北京の自然環境の悪化があります。北からの砂漠化の脅威、2000万人都市を養っていくのには不十分な水資源、大気汚染などが挙げられていました。さらに、異常な不動産の高騰も、北京を非常に住みにくい街にしてます。

 新しい首都の候補として、長江中下流の街がふさわしいとされ、機能的な都市開発をするべきであるという意見もある一方、北京の周囲に衛星都市を建設して、機能を分担させようとするもの、さらに北京近郊に副都心を作るというもの、さらに上海を経済の首都、北京を政治の首都と位置づけて、1国2首都制度を導入しようといものもあります。

 まだ具体的な行動が起こされているわけではありませんが、1986年頃から遷都論が湧いているのも確かです。

西安


 ちなみに、1949年に中華人民共和国が設立され、首都が北京に選ばれた理由に、当時の友好国であった旧ソ連との関係があったと言われています。さらに、昔となると、万里の長城を代表するように、北方民族の襲撃の問題もありました。そういう意味では、北方は拠点であったわけですが、時代も変わりました。

 日本も、かつては東京の首都機能を分散させたり、移転させたりする論争が活発でしたが、今はあまり耳にしません。しかし、地方との格差がある程度顕著化してきた昨今、日本こそ真剣に首都移転問題を考えた方がいいのかもしれません。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類