2007年11月25日

観光ガイドに嫌われる

 観光ガイドがいやがることの一つに、ツアー客のなかに、地元に詳しい人、もしくは中国語が非常にうまい人が居る場合です。

 私が日本からの中医学研修団に付き添ったのは、べつにガイドさんを困らせるわけでもなく、仕事の都合上だったのですが、でも雰囲気的にガイドさんは私を避けられているなと感じました。買い物には来てくれるな、というような表情でした。

 確かに、ツアーに組み込まれている買い物などに、私などがいたら具合悪いでしょうね。でも、さすがに私もそこまで意地悪なことはしようとは思いません。

 上海にくる日本からの団体ツアーは、たいてい指定された食事場所に行きます。そのため、どの店もご飯時になるととんでもない混雑になるわけですが、見てみると日本人ばっかりということがよくあります。

 そして、レストランへ行く途中には、団体おみやげもの屋さんを歩いて、モノを買わそうとする。旅行会社と組んで商売してるのはよくよく分かりますが、やり方が余りにも不自然なので買う気が一気に失せてしまう。

 久しぶりに歩いた上海豫園の日常の姿は、上海の日常の姿とかけ離れた、中国でどこでもあるような観光地となっていました。上海といえば、豫園ぐらいしかないですからね。

 ここでは、日本語が妙にしゃべれる人たちが、ニセブランドの商品リストを見せたり、乞食が観光客に集ってきたり。

 一般に、上海人は中国語でも買い物客に商品を売るのが下手だと思いますが、ましてやかたごと日本語では、身も蓋もありません。それでも、しつこくやってくる商売魂には頭が下がります。

 こういったいつも変わらない風景に、観光客もそろそろ飽き飽きすることでしょう。団体客が決められた店と決められた観光地にいってお金を稼ぐというモデルは明らかに時代遅れです。

 ガイドの友達がいっていましたが、実際に日本人のツアーほどお金が稼げないツアーはないそうです。日本の旅行会社からがっぽりとリベートを持って行かれるし、できることならやりたくないそうですが、食べていくためには仕方がないそうです。

 悪循環している上海の観光業界にすこしは同情しますが、もっと面白い上海ツアーを考え出さないと、上海の観光業はダメになってしまうように思います。少なくとも、いまのままで万博を迎えて欲しくないです。

 ちなみに、ガイドも上海人から地方出身者が増えてきています。昔は、ガイドといえば、タクシー運転手とともに上海人の花形職業の一つだったのですが。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

日本でも入院保証金制度

 日本でも、厚生労働省が入院時に患者に入院保証金を支払ってもらう制度を病院の経営状況に応じて認めるというニュースがありました。最近、日本で急増している入院医療費不払い対策に対する動きです。

 中国では、かなり前からこの制度を行っています。一般に、1回入院する時に患者がデポジットしなければならない保証金の額は5000元〜6000元ほどで、上海人からすれば大した額ではなくても、地方から来た人からすればかなりの負担になります。もし、患者が保証金を支払えない場合は、医師が代わりに負担してあげることもあります。

 医療費の未払いを防ぐために、中国では検査から診察、薬まですべて先払いです。診察を受けるときは、まずお金を払ってから、診察室に入る。
 確かに、救急の時に、人命が先か、お金が先か、という問題に直面しますが、救急の時も、場合によってはお金が先ということもあり、こちらは社会問題にもなっています。

 ただ、格差の非常に激しい中国では、人道的には問題があっても、社会的には人命に対する金銭的価値に大きな区別があることも確かです。 だからこそ、人々は貯蓄や財テクに熱心になるのです。不透明な時代に信じることができるのは、結局自分しかない。

 

 こうした日本の福祉の状態を見ると、日本の社会が確実に格差社会に突入し、それが国の力を弱めていることを実感します。

 そのうち、旅館やホテルも中国のようにがっぷりとデポジットをとるようになるかもしれません。人と人との信用が揺らぎつつあるのを、私は非常に悲しく思います。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類