2008年01月15日

道士は踊る、踊る

 今回の儀式のクライマックスは2日目にあると義母から聞かされていたのですが、なるほど、道教の僧侶である道士たちが朝から続々とバイクでやってきました。

 老子から始まった道教は、中国の思想史に大きな影響を与え、文革で一部は壊滅的な打撃を受けたものの、田舎ではまだ残されていて、こうして今回の葬儀のように伝統が生き続けています。

 道教といっても馴染みが薄いかもしれませんが、中医学といえばこのブログの読者ならピンとくるでしょう。中医学こそが、まさに道教の流れを強く受けたもので、例えば「天人合一」の思想などはその典型です。中医学が今まで残ってこれた理由に、中国民衆が道教を信じ、それが生活に根付いていたことも大いに関係があります。その証拠に、一昔前は、道士たちが病気を治療していたことがありました。不老長寿の錬丹術も、道教の流れを受けていて、中医学の発展とも大きな関係があり、今での江西省三清山にはその当時に面影が残されています。

 2日目の朝は、昨日の祭壇が大きく取り壊され、前の料理の部分は、2人の調理師が参拝者のために料理を作り、祭壇も道教風に組み直されました。

 

 私も生まれて初めて道教による儀式をみますが、この辺りではごく当たり前に行われていることらしく、必至に写真を撮る私の姿に、村人たちが「そんなに珍しいもんじゃないよ〜」といってからかいます。

 道教の一行には、楽隊もいて、音楽を奏でます。打楽器はもちろん、沖縄三味線やチャルメラ、法螺貝などそれはそれは賑やかな楽器隊でした。

 道士の中でも、位の高い道士は赤い着物を身につけ、参列者の前でリーダー的なお祈りを捧げます。この踊りが非常に興味深く、時には狂乱したかのような踊りの様子を見せます。日本の厳かな葬式や法事とは打ってかわった極めて躍動的な儀式となっていました。

 祭壇前の儀式だけでも、私は十分に驚いていたのに、もっとすごかったのは前庭で行われた儀式です。

 道士たちは、籾殻や米で地面に大きな図を描き、今度はこの図を囲んで儀式が行われます。主な参列者である親戚たちも、白装束に身を包み、道士たちとこの儀式に参加します。

 爆竹が突然数発あがって、その音におののいていると、道士と親戚たちは、道士の導きによりその図柄の周りを走り始めました。図柄の中は一種の迷路のようになっていて、この中を巧みに走り込みます。

 走るスピードは非常に早く、図柄をグルグル駆け回ります。

 これらひとつひとつの動作には深い意味があるのでしょうが、私には知るよしもありません。

 でも、道士たちの導きで、一連の儀式は淡々と進められていきます。

 道教がこれほどにもパワーを持っていたとは、中医学をしておきながら私は知るよしもありません。いま、中国の大学で中医学を勉強するも、表面的に太極図や陰陽五行説、まあさわりだけでも八掛などをやりますが、道教についての具体的なことはやりません。でも、こうした一連の儀式をみていると、中医学の思想の根底にある道教が、なぜこれほどまで庶民の心を引きつけたのか、私は非常に興味を持ちました。

 例えば、風水にしても道教思想と深く関係があって、この地域では道士が風水を占います。庶民にとって道士とは人生を導く大切な存在でもあるのです。(私の結婚式も、日本の大安に設定しましたが、偶然にも道士に最高の日を選んだといわれました。)

 今回の葬儀、儀式はまだ続きます。

 いよいよ、クライマックスを迎えるのです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

無錫小篭包と山羊肉

 この無錫近郊の村の近くにある集落といえば、港下鎮というところなのですが、今日の朝食は街に繰り出して、美味しいものを探しにいくことにしました。

 無錫の名物といえば、小篭包(ショーロンポー)。好き嫌いはあるかもしれませんが、美味しい店で食べることができれば、甘党で結構コクのあるショーロンポーを楽しむことができます。

 で、目指したのが自由市場。

 今日のような小さな街にはなかなかいい店を見つけられないので、こういう時は自由市場にいって店を探すのがコツです。

 すると案の定ありました。買い物帰りの村人たちが列しているショーロンポーの店が。

無錫風味の小籠包(ショーロンポー)


 無錫小籠包の特徴はやはりなかにあるスープの味と肉の味付け。で、化学調味料をあまり使っていないのが本物。上海のショーロンポーは化学調味料使いすぎとのところが多すぎて、食べるとすぐに喉が渇くのです。しかし、無錫の田舎にいくとそれがあまりない。
 上海南翔のショーロンポーもいいですが、無錫のショーロンポーもぜひ食べてみる価値はあると思います。

 そして、2軒目に向かったのが、山羊肉を食べさせてくれる店。この辺りは、山羊肉でも有名です。ただ、上海にあるような紅焼の山羊肉ではなく、白切山羊肉が多いのが特徴。

 あっさりと煮詰めた山羊肉をスライスして、醤油・ネギ・ニンニクの芽につけていただきます。もちろん、山羊肉でとったスープを注文して食べてみるのも乙。地元の人の多くは、山羊肉をつまみながら、スープを楽しんでいました。

 暖房もろくにない寒い、寒い田舎の冬では、体を芯から温めてくれる山羊肉の魅力に陶酔。食と生活習慣の密接な関係を実感できます。

 一方の私は山羊肉スープ+麺でいただきました。ちょっとしたラーメンの感覚です。全然脂っぽくなく、非常にあっさり風味。しかも山羊肉の臭さがみごとに抜けているました。

 うまい!

山羊肉と麺とスープ


 ここでも、スープには化学調味料は使われていませんでした。味が足りないと思う人は、各自「味精」を入れていました。

 素朴だけどなんか暖かみのある、そんな食堂の風景を楽しみました。

農作物を盗むと、豚になるそうです 発想がユニーク
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類