原作は張愛怜。うちの嫁さんが大フアン。オールド上海を代表する作家で、上海市内にはいまでも彼女を偲ぶ建築物がたくさんあります。 彼女の愛人が特務隊だったこともあり、かなり迫真に迫ったストーリーとなっています。
梁朝偉(トニーレオン)。いいですね。彼の独特の雰囲気に、私はすっかり取り込まれてしまった。いや、男惚れするようなタイプです。王力宏(ワン・リーホン)もいいのだけど、どうも彼の普通語がぎこちなくてちょっと残念。
オールド上海マニアの私にとって、時代考証を観るのが楽しい。映画の中で霞飛路(今の淮海路)が出てきたり、思南路を通行止めにして撮影したシーン、外灘の北の端にある外白渡橋がでてきたり。あの蘇州河を挟んだエリアの違いというのは、あの戦乱当初大きかったのですよね。日本軍の検閲など、きっとそんな感じだったのだろうな、とか想像しつつ、魔都上海に私も吸い込まれそうでした。
その当時、インド人が上海に少なくなく、交差点にたつ交通整理はインド人がしていました。三輪タクシーは、まさに今のサンタナタクシー。街を自由自在に走り回っている姿は、なかなか印象的。華やかな金持ちの生活もあれば、庶民の生活もある。この映画では、その両方が描き出されていました。
湯唯がコーヒーを飲んでいた喫茶店、凱司令は、今でも南京西路にその店があります。当時の面影はないですが、上海人の間では有名な老舗洋菓子店です。
映画の舞台となった1930年代当時の上海は、香港なんかよりもずっと発展していた大上海でした。私も、年配の方からそういった話をときどき伺いますが、映画をみるとますます実感していまいます。
うわさのベッドシーン、たしかにすごかった。ただ、この映画ではベッドシーンがかなり大きな意味を持ちます。李安監督もそこにこだわったのでしょうか。理性にがんじがらめになった男と、理性と感情の狭間に立たされた女の悲しいラブストーリーです。
2月2日から、日本で公開されています。
公式HP:http://www.wisepolicy.com/lust_caution/