2008年02月16日

視聴率96.5%はウソだった?!

 春節の大晦日に放送されるCCTVの春節聯歓晩会(通称:春晩)は、日本で言うと大晦日の紅白歌合戦に相当する番組で、これの視聴率がいくらになったかというのは、毎年話題になります。といっても、メディアに報道される数字は、大抵同じで90%以上がほとんど。果たして、本当にこれだけの人がこのテレビを観てるかというと、まあ、我が家では少しは視たけど、結局長続きせず、殆ど視ませんでした。

 どうみてもかなり疑問が残ります。
 
 どこかもメディアがつっこまなかと観察してたら、ありました。2月16日の上海の新民晩報で、このCCTVの視聴率が怪しいのではないかと切り込んでいます。

 ちなみに、2008年の晩会の視聴率は96.5%と出されています。

 数字を出したのは、ビデオリサーチ社でもなく、CCTV系列の中視市場研究CTRだそうで、要は身内がデータを出していることになります。そのやり方がかなり原始的で、中国全国の406区・県から3時間かけての電話調査を行い、2063の家庭に電話したところ、1899の家庭で春晩を視ていたので、視聴率は96.5%だったというもの。

 そこから、13億人の中国人のうち、12億人がこのテレビを観ていたと評論するのは、かなり早とちりで、誇張されるのもはなはだしいというわけです。

 で、「新民晩報」では外資系の調査会社AGBニルソンの視聴率の数値を示し、それによると上海エリアでは視聴率が17.4%、杭州でも19.3%に過ぎないと反論しています。

 結局、CCTVも春晩から広告を稼ぎ出したいワケで、それで利害関係もあってこういう数字を出しているのではないか、という懐疑も出てきます。

 考えてみれば、メディアや新聞の殆どが国営でおさえられている中国では、本当の数字がどうであるか、実態がどうであるか、なんかを見いだすことは非常に難しいわけです。
 
 それでCCTVがいう視聴率96.5%が広く流布されると、何も感じなければそんなもんかと信じてしまうわけですが、実感から大きくかけ離れていると言うことは、中国で生活している我々からすれば当然理解できます。

 ちなみに、日本のビデオリサーチが行っている視聴率調査については、ここに詳しく書かれています。

 こういった公正さをはっきりと表明してもらえないと、なかなか信頼は得られない。

 中国の中医学の論文を読んでいると、例えばある薬の「有効率」が90%とか80%とか平気で書かれていることがあるけど、まあ、これも怪しいものが少なくない。

  中国の数字に関しては、とにかく理解に苦しむ今日この頃です。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

日本の子供を見習えと言っても

 今日は朝から復旦大学附属児科医院へ。
 
 いつものように、外来はすごい人です。人の波は受付から病院の外まで続いていて、びっくりします。はっきり言って、ここは古い病院なのですが、この春には閔行区に引っ越しします。外来機能は残るようですが、病棟は今の場所から無くなるようです。

 今日の任務は、西洋医学で診察にくる患者さんに、必要なら生薬を処方してあげるのですが、なんせ私とチームを組んでくださっている先生は、重量級の教授で、本当にいろいろ勉強になります。
 西洋医学出身の先生と、私の師匠のように中医学出身の先生とは、同じ診療科でもその発想がまるで180°違います。だからこそ、私は中医学の先生と西洋医学の先生はチーム医療するのがいいのでは、といつも思います。確かに、「中西医結合」は中国でも流行していて、1人で2役することはできますが、やはり診察する医師は1人だから、どうしてもどっちかに影響をうけてしまいます。

 親やおじいちゃん、おばあちゃんにつれられてやってくる上海の子供たちをみていると、本当に大切に、大切に育てられていることが分かりますが、もう少したくましく接してあげてもいいのにと思うことが度々です。

 聴診器をあてるにも、セータを1枚、2枚、3枚とタケノコの皮をむくように脱いでいかないといけないし、ジュースやコーラ、お菓子を持たせてやってくる親御さんもたくさんいます。

 そういえば、去年のNHKの「クローズアップ現代」で、まっすぐに走られないなど日本の子供の運動能力の低下を指摘する内容をやっていました。それをみたときに、ふと上海の子供たちはどうなるのだろうと思ってしまいました。

 日本の公園のように野球場やサッカー場があるわけでもないし、キャッチボールなど球技をしている子供たちはまず見かけません。

 日本では子供たちの習い事に、スイミングなどスポーツ系が必ず入ってくるのですが、上海・北京では、まずピアノとか英語などを習わす親御さんが60%以上を占めているというデータを読んだことがあります。

 上海の場合、幼稚園でもあまり激しい運動をさせるのことはなく、スポーツをする必要性を重視せず、逆にケガしたら大変とか、危険性の予防ばかりに気が取られ、十分な運動がされていないという話を幼稚園の先生から聞きました。どうしても、漢字を覚えたり、英語を勉強したりと机の前の作業が中心になるようです。まさに、小学校の予備校。そういった実態を反省して、日本のような幼稚園教育を取り入れようという動きもあるようです。

 今日も着ぶくれしてだるまのようになった子供たちを診ていると、「もっと運動したいのだろうなあ」、と思いつつ、日中の文化の違いを改めて感じました。

 上海での子育て、子供たちの生活は恵まれていても、肉体的・精神的には大変なようです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類