2008年03月05日

中医学の標準化

 中国衛生部では、いま中医学の「標準化」作業を進めています。中医学というと、処方の組み方など非常に自由度が大きいのが特徴なのですが、これを西洋医学的なガイドラインを作ってしまおうという試みです。

 これが第十一5カ年計画に盛り込まれているので、力が入ってくるのは当然でしょう。

 標準化されてしまうのは、109種類の病気。西洋医学的に109種の疾患を指定して、それぞれの標準的治療法をガイドライン化してしまおうという発想です。

 中国には、中医学を管轄する中国国家中医薬管理局という組織があります。ここが、さまざまな伝統医学に対する政策を打ち出します。非常に影響力が大きく、ここの方針が中医学の発展を左右するといっても過言ではありません。例えば、病院が政府からお墨付きをもらうのも、こうした組織の関与が必要です。

 確かに、政府組織によって中医学を標準化していまうと医師にとってはラクかもしれません。ガイドラインに合わせて薬を処方したらいいわけですから。でも、中医学の発展に関していうとかなりナンセンスかもしれません。中医学本来の先人の「継承」という「個性」がそぎ取られる可能性があるからです。

 いま、中医学の世界では継承者の問題が大きく取りあげられています。若者の中医師職業離れも深刻で、継承者が十分に育っていない。

 実際に中国政府が提唱しているほど、中医学の医療現場は調子よくありません。

 こうした標準化の動きが、もともと自由だった中医学の発想を、ガチガチにしてしまわないのか、すこし心配です。

 3月中旬に、中医学の国際大会が江蘇省であり、私も参加しますが、どのような議論が交わされるのか、私もちょっと楽しみにしています。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類

上海の水源を守る難しさ

 上海のように山がなく、さらに大陸の下流に位置している場合、良質な水を確保することは誰が考えても難しいです。
 私の実家、奈良県は山に囲まれていて、水道水の水でも非常に美味しいのですが、上海の場合、美味しい水は非常に貴重です。

 上海の中心エリアの貴重な水源となっているのが黄浦江。特に、松江エリアにある松浦大橋取水口からは上海市中心エリアの水量の60パーセント以上を取水しています。そのため、このエリア沿岸30q以上にわたっては水源保護区として大切に保全されています。(上海水道博物館データ)

 上海市も水質の確保には力を入れていて、松江の水源エリアに関しては、汚染の元になる家畜の飼育を禁止にしたり、工業エリアを閉鎖させたりしています。特に水源エリアでは90%以上の畑や養殖池が林に取り替えられました。

 ただ、それが付近の農民たちにとって大きな負担となっているのもまた事実なのです。その数は、政府が明らかにしているだけでも2.6万人。
 つまり、上海の水源を確保するために、農業などの従来の職業に就くことができず、遠くのエリアまで通勤を余儀なくされたり、自給自足の生活ができなくなって、消費社会にいやでも突っ込まれる現実があります。



黄浦江と外灘


 こうした農民たちにはまだ補償制度があるわけでもなく、上海市政府内でも水道料金の一部でも農民たちに補助してあげるべきだという声があがっています。

 もともとのどかな田園風景で、人々が農業を営んでいるところが、今や出稼ぎによって生計をたてる状態に様変わりし、人々の生活に大きな影響を与えています。

 以前だったら「おクニのため」とでも言えそうですが、今の上海はそうは簡単に解決できません。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類