2008年03月08日

上海、50%自己負担の小児科

 この制度は、中国でも画期的なものです。

 上海で今年からはじまった、子供への公的医療保険の一律加入制度は、とく難病とよばれる子供たちにとっては大きな力を発揮しています。

 さらに、上海市では腎臓疾患の子供のための基金も作られていて、難病の腎疾患の場合、かなりの公的補助が出ます。さすが、中国のなかでも先を進む上海だと思います。地方では、なかなかそのようにいきません。

 今日も外来で、先天性ネフローゼの重篤患者に出会いました。生まれたすぐから尿タンパクが発現し、放っておくと腎不全になってしまうという難病です。残念ながら治癒する手段がなく、将来的には移植か透析をするしかありません。

 中国の場合、高額の治療費がかかるこうした子供たちに対して、経済的で治療が続けられないというケースが非常に多いです。今日会った子供も、上海のテレビに登場したことがあり、人々からすくいの手を求めていました。

 結局、今でも両親の経済的事情もあまり芳しくなく、親は治療放棄の道を選ぼうと専門家に相談しにきていました。

 30分ほど両親と子供、そして教授とのあいだの相談が続きました。

 子供は2歳前後で、見た感じ普通の子供と殆ど変わりません。しかし、すでに腎機能が衰えているので、クレアチニンの値はかなり高くなっています。

 親がどういう話をしているのか、子供のきっとそれとなしに感じていることでしょう。

 教授は、治療を放棄するのではなく、こうした医療保険制度をつかって、少しでも延命させてあげるべきだと主張していました。ひょっとしたら、移植の腎臓が見つかるかもしれないし、さらに医学が進歩したら、人工的に腎臓を培養できるようになるかもしれません。こうした未来に賭けてあげるべきだということです。

 日本のニュースを見ていると、集団自殺や電車への飛び込みなど自ら命を絶ってしまう人が非常に多いけど、こうして生きたくても生きられない子供たちのことを思うといたたまれません。

 死ぬことを考えれば、人間どんなに苦しくても何でもできてしまうのではと思うのです。

 でも教授は最後に言っていました。「この子供、上海人でよかったね。まだまだたすけてあげることができる」と。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類