2008年04月16日

冷静さも必要では?

 「世論」というのは本当に怖いものです。実際に自分で体験して知っているわけではないのに、時にはそのときの感情的にも左右されて、時には大きな判断を誤ってしまいます。

 あの「カルフール」の問題にしろ、中国の西の果ての高地での問題にしろ、我々多くはその場にいて見ているわけでもないし、ましてや上海にいる限り当事者となる可能性もそう多くない。

 だけど、みんなあたかもそのことをよく知っているように思いこんでしまい、その上で大衆が動いています。海外のメディアも中国のメディアも。

 今日の新聞までもが、「CNNは謝れ」とは「フランスは反省すべきだ」とかトップで登場しています。こうした記事を見て、ふと我々日本の混乱期もこうだったのではないかとこの目に重なって映ります。60年以上ほど前のこと、私は知るよりもありませんが。

 愛国心が芽生えたとき、全世界を敵に回しても決して怖くなくなります。
 日本みたいな小さな国でも、全世界を相手に戦争してしまったぐらいですから。
 そして、人間は祖国に対する侮辱や鼓舞には敏感に反応します。

 さらに、監視役でもあるメディアが自由に討論できるという土壌がなければ、この問題の解決は厄介です。
 なんせ、日本と違って、記者という職業は「免許制」であり、一種の特殊権益が認められていて、社会的地位がずっと高い。我々医者なんかよりもずっと尊敬される仕事でもあったりするのです。
 この前、患者さんで診察を受けるときに、「記者証」を私の師匠に散らかせた人がいたのが印象的です。

 こうした人たちすべてが、政府のスポークスマンとなりうるところに、正直背筋が寒くなる思いがするのです。

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 改めて、今日、私のMSN(メッセンジャー)に上がってくる中国人の友達のコメントは、まず「赤いハート+CHINA」。

 ずらりと赤いハートが上から並んでいます。これ、本当です。

 その中で、私はあえてコメントしました。

「赤いハート+The Earth」。
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類