上海で発生したバス燃焼事故では、死者が3人も出ましたが、この事故が私たちに教える教訓は非常にたくさんあると思います。
まず、上海の路線バス。最近空調バスが増えているのですが、日本みたいにバスのドア以外の後部非常口がないことを皆さんご存じですか?
実は、一昔前の上海のバスには確かに後部非常口がありました。でも、最近の路線バスはありません。だから、今回の火災のように、バスの中央部分で燃えた場合、後ろの人が脱出するのはかなり難しい。そのため、今回のケースでも後ろの客が犠牲になっています。
さらに、問題となったのは密閉式の窓。さらに、ガラスをたたき割るためのハンマーも取り外されていて、すぐに脱出することができませんでした。このハンマー、日本のバスならよく見かけますが、中国では盗難に遭うらしく、置いていないことが多いのです。さらに、仮にたたき割っても、窓際の手すりが邪魔して窓から脱出することが難しいことも判明しました。
もっとびっくりしたのは、同じ系統のバスが火災になっているのに、前後を走っている同僚の運転手でさえも消火器をつかってでも消火活動をしなかったと報道されている点。これだけ頻発して路線バスが走っているのだから、いざというときに協力し合うのがプロ意識ではないのでしょうか。
この事故の原因は、危険物の持ち込みによる公算が強くなりました。ただ、現在も関係部門による調査が行われています。
私は今回のケースは人ごとではないように思います。いかなる理由にせよ、電気系統のショートなどが原因で、夏になったらバスが燃える事故が上海ですらよく発生していますし、危険物を持っているような民工たちの大きな容器をよく見かけます。なかに仮に有機溶剤とか入っていないにしろ、そういう意識が低い人が非常に多いのもまた事実です。
もっと怖いのが地下鉄です。中国各地から地下鉄に初めて乗るような人たちが毎日押し寄せており、すこし間違えれば無秩序状態になってしまうような混雑もよく見かけます。彼らがどんな物を携帯して地下鉄に乗り込んでいるのか分かりません。
中国で安全に生存するためには、極力人混みを避けること、これは鉄則です。
今回火災を起したバスも、ものすごい混みようであったということが乗客の証言で明らかになっています。
2008年05月06日
緊急脱出できないバス
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類