2008年09月18日

粉ミルク問題と毒米問題

 折しも、中国ではメラミンの毒粉ミルクの問題、日本では農薬汚染されたお米の問題が大きく取り上げられています。どちらも、原材料は中国のもの、という点で共通していますし、さらに生産業者が小細工をしたというよりも、原料を提供する業者側で問題があったという点でも共通しています。さらに、こうした事件を発見しなくてはならない検査機関もずさんであったという点までよく似ています。

 中国の粉ミルクの場合、原材料のタンパク質の含有量を引き上げるためにメラミンを混入し、さらに検査に引っかからないということも分かっていて、しかも生産業者も体にも有害だと分かっていての明らかな犯罪行為です。

 しかも、こうした粉ミルクを飲むのが、乳幼児という点からも、生産業者のモラルを疑う事件です。いまや、中国人の間でも国産粉ミルクに対する不信感が蔓延しています。

 日本では、国産といえば「安全」の象徴となっていますが、中国では逆で、相変わらず輸入信仰が強いのです。上海のお金持ちの家では、粉ミルクといえば日本や欧米からの輸入品を使うわけで、はなっから国産のものを信用していません。

 よって、今回の事件に関しても、地方のあまり豊かでない人たちが毒粉ミルクの被害を受けたことになります。「お金がなきゃ、安全は手に入れられない、安いものにはウラがある」というのは、私が中国生活体得したことです。

 しかし、最近では「いものでも、たいしたことない。最高の贅沢は自分ですること。」と思うようになりました。結局、人に任せることがリスクなのです。

 中国政府も、躍起になって安全な粉ミルクを製造している中国国産企業87社の名前を公開するなど、事態の混乱を避けようとしていますが、親がもつ不安というのは、一旦発生するとなかなか消え去ることはできません。

 香港に隣接する深センなどでは、ここ数日、香港から粉ミルクをどっさりと持ち込む親が激増しているそうです。とても中国国内のものは信用できないという現れでしょう。

 粉ミルクの問題は、今まで「ラク」することに力を入れてきた上海のお母さんにも大きな衝撃を与えています。

 一般に、お母さんが努力をすれば90%のお母さんで母乳で子供を育てることが可能だといわれています。しかし、上海では母乳が出にくい、痛い、面倒だ、子供が泣く、仕事が優先、スタイルに影響する(なんか、いかにも中国的な理由かと思いますが。。。)などなど様々な理由を並べて母乳をいやがるお母さんが多かったのでした。

 それが、今やとんでもない事態を引き起こしており、「ラク」することは決していいことではないということが分かりつつあるようです。

 

posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類