全く許せない事件です。今回の乳幼児用粉ミルクからはじまったメラミン混入事件ですが、今ではヨーグルトなどの乳飲料まで波及しました。スーパーの乳製品売り場は棚がガラガラの状態です。国産の粉ミルク、牛乳、ヨーグルトまできたので、次はチーズ類まで来るのではないかと心配しています。
偶然にも私は牛乳類を最近飲んでおらず、自家製の豆乳に切り替えていたのですが、私は無類のチーズ好きでして、このチーズもかなり前に、中国人の友達から「輸入ブランドに換えたほうがいいよ」といわれて、中国国産のものを食べなくなった矢先の今回の事件でした。
中国の場合、市民のウワサは政府の行動よりもずっと早く流布されるので、ひょっとすると何か関連があるかもしれません。
皆さんもご存じかと思いますが、日本と国情が違う中国では、新聞などのメディアは情報を自由に発表することはできません。よって、朝の上海で地下鉄をみてみると、乗客の読んでいる新聞は99%同じです。これではなかなか違った意見や議論を戦わせることはできない。知っている情報は見事に画一化されています。すっぱ抜くなどあり得ないわけなのです。
なぜこういうことを書くかというと、今回の粉ミルク事件で、中国ではこれまでさんざん「粉ミルクはいい」という報道や宣伝がなされてきたのです。母乳に不足しがちな栄養分が粉ミルクには含まれている、などなどあらゆる誘惑がお母さんにありました。アイさんにミルクを配合してもらえば、お母さんは夜ゆっくりと眠られるとか。
一方で、上海の多くのお母さんは子供を一人しか作らないためか、育児には無知です。アイさんに任せているから、それに拍車がかかっているのかもしれません。私の周りの若お母さん(大学の同級生たち)をみても、妊婦の定期検診にすら行かないお母さんが沢山います。これには本当に驚きました。これでは、正しい育児の知識はつかない。自分がいまどういう状態かも分からない。
結局、ウワサや迷信に惑わされ、どうしようとソワソワし、混乱を起してしまうのです。
さらに、今回の事件が発生し、メディアでも一転して母乳の大切さを訴えるようになりました。まったく脳天気なものです。
仕事のためにさっさと母乳をやめたお母さんも、いまや職場で搾乳機で母乳を絞った後、バイク便でアイさん(家政婦)が面倒をみている子供に届けているというような話も聞きました。
では、自分のお母さんに聞けばいいじゃないか?ということですが、この若お母さんの母親の世代の知識もかなりあやしい。中国の医学・科学がまだ未発達の時期に育った世代だし、しかも社会が停滞した文革も経験しています。
迷信や間違った知識に充ち満ちており、うかつに信用することもできません。こういう側面からみると、日本とは30年〜40年いや、それ以上の開きがあるといっても過言ではないでしょう。
世論がコントロールされると、そのしっぺ返しは結局一般庶民に来るわけで、中国でもインテリ層は早くから海外からの情報を仕入れ、一つ先の生活を、十分にお金をかけて行っています。というか、さっさと移民してしまっていますよね。
2008年09月19日
大いに混乱、毒粉ミルク問題
posted by 藤田 康介 at 00:00| 未分類